第23回大会

2018 年 5 月 4 日 コメントはありません

第23回大会 2017年(平成29年)8月18日 参加校28校(歯科大学全校参加)

タイトルおよび発表内容要旨 (上位入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝/日本代表 – 基礎部門 第1位:吉野 舞, 広島大学歯学部, 5年生

単一細胞トランスクリプトミクスによる骨芽細胞の多様性の解析

骨形成を終えた骨芽細胞は多くがアポトーシスにより死に至るが、一部は骨細胞やライニング細胞へと分化する。また、加齢や骨粗鬆症等の病態に伴い脂肪細胞へと分化転換する例も報告されている。しかし、これらの分子基盤は殆ど解明されていない。そこで、以下の方法で骨芽細胞の遺伝子発現レベルを単一細胞レベルでプロファイリングするとともに、脂肪細胞への分化転換能について検討を加えた。
Col1a1プロモーター制御下でLyn-Venusを発現するレポーターマウスを作製し、同マウス新生仔頭頂骨よりVenus+ 細胞を分離した。同細胞について単一細胞レベルでハイスループット mRNA Seqを行い、そのうち90細胞のトランスクリプトーム解析を行なった。Venus+ 細胞の脂肪細胞分化能はin vitroで確認した。
教師なし階層的クラスタリングの結果、Venus+ 細胞は大きく2つの集団に分類され、一方はさらに複数に分類された。PPARgをはじめとする脂肪細胞分化に関与する遺伝子群も多数発現しており、PPARγの合成リガンドを負荷すると、Venus+細胞の一部は脂肪細胞へ分化した。
以上より、今回、単一細胞レベルにおいて骨芽細胞の多様性が初めて明らかとなった。また、一部の骨芽細胞集団は脂肪細胞分化能を持つものと考えられた。

 

準優勝 – 臨床部門 第1位:福留 彩音, 日本大学歯学部, 5年生

歯槽骨吸収予測指標としての歯肉溝滲出液中ストレスシグナリングの解析と臨床応用への検討

歯周炎の進行に伴い歯槽骨の吸収が起こるが、その程度は患者の口腔衛生状態や年齢も関与する。
歯肉溝滲出液(GCF)には歯周炎の病変を反映する様々な分子が含まれるため、GCFを解析することで歯槽骨吸収の進行を予測することが期待されているが、詳細については十分検討されていない。
そこで本研究では、20~70代の歯周炎患者を年代別、男女別にグループ分けし、ソフトウェアによる骨吸収程度、X線写真及びGCF中のストレスシグナリング分子と歯槽骨吸収状態との関連性を比較検討した。その結果、(1)歯槽骨マトリクスは性別と年齢に影響を受ける、(2)GCF中の分子の双方分布はNetwork 1(heme-H2O2-calcium)に起因し加齢変化と関連がある、(3)双方分布の移動はNetwork 2(GADD153-Substance P)に起因し、加齢による歯槽骨吸収の影響を受ける、(4)歯周炎はNetwork 2活性に影響を与え、歯槽骨吸収を促進する可能性があることがわかった。
以上の結果から、Network 2のGCF中分子は、臨床現場において歯槽骨吸収の早期発見と治療のための予測指標となり得る可能性が示唆された。

 

基礎部門 第2位:松本 夏, 大阪大学歯学部, 4年生

オートファジー誘導にはカリウム流入を抑制するホスファターゼが必須である

オートファジーは主に飢餓によって誘導され、細胞質成分を分解し栄養源やエネルギー源を供給している。また、細胞内に侵入した細菌をオートファジーによって除去する機構も知られている。これまでにオートファジー制御において、複数のリン酸化酵素の関与が明らかとなっている一方、脱リン酸化酵素は知見がない。そこで新規オートファジー関連ホスファターゼの単離および機能解析を行った。
出芽酵母全ホスファターゼ40種のスクリーニングの結果、過剰発現により通常オートファジーがみられない富栄養条件でオートファジーを誘導し、機能欠失により飢餓条件でオートファジー不全を呈するPpz1とそのパラログのPpz2を同定した。二重欠損株で種々のオートファジー関連タンパク質(Atg)への影響を検討し、Ppz1,2はオートファジー誘導経路の最上流因子であるAtg1の活性化に必須であることが分かった。さらに、Ppz1,2はカリウムトランスポーターTrk1,2を負に制御していることが明らかになっており、Ppz1,2に加えTrk1,2の四重破壊株ではオートファジー活性は野生株同等に回復した。このことから、オートファジーの誘導にはPpz1,2がTrk1,2を負に制御し、細胞内カリウム流入を抑制することが必要であると考えられる。

 

臨床部門 第2位:柳田 陵介, 東京歯科大学, 5年生

フッ化物微量拡散法による乳児一日フッ化物摂取量評価

フッ化物応用の齲蝕予防効果は多くの疫学研究から示されている。安全性に配慮したフッ化物応用を行うためには経口摂取する一日フッ化物量(Daily Fluoride Intake, DFI)を確認することが必須である。
本研究では成人よりも体内へのフッ化物の吸収率が高く、少量で過剰摂取による影響が出やすい乳児期の食事を想定し、離乳食、粉ミルクおよび飲料水から摂取されるフッ化物含有量を測定した。さらに、その総和から乳児期のDFIを推定し、目安量との比較を行った。検討の結果、乳児期の離乳食、粉ミルク、飲料水を合算し、推定されたDFIは5か月齢で185.34μg/day、7か月齢で181.16μg/day、9か月齢で174.59μg/day、12か月齢で179.19μg/dayであることが明らかになった。
本結果のDFIは全ての月齢において欧米目安量の約1/3~2/3ほどの低値を示しており、近年の食の多様化と欧米化に伴って日本人のDFIが減少傾向であるという我々の仮説は支持された。本データはフッ化物応用の安全性指標として有用であり、食生活の変化に伴う乳児期DFIの変移を把握するために、今後も継続的な検討の必要性があると考えられる。

 

石川 瑛三郎, 岩手医科大学歯学部, 4年生

fMRIを用いた高齢者のタッピング時の脳活動研究

fMRIなどの非侵襲的手法の発達により、ヒトでの顎運動の脳回路解析が可能となった。本研究では、歯のタッピングに関与する脳部位とその機能的役割を明らかにする目的で、80歳以上の高齢有歯顎者(20本以上の歯を持つ)、無歯顎者および義歯装着した無歯顎者を被験者に、タッピング動作を行わせ、MRI画像を取得した。タッピングによって賦活化される多くの脳部位の中で、義歯装着により影響を受ける脳領域間結合を解析した結果、 1)タッピングによる感覚入力は視床VPM核から一次感覚野、島皮質を介して前頭連合野DLPFCに伝わり、随意運動開始のトリガーとなりうること。 2)小脳は、末梢からのフィードバック(小脳ループ)を介して円滑な運動遂行に、大脳基底核は、大脳基底核ループを介してリズミックな運動の開始、遂行に関与しうることが明らかになった。単純な歯のタッピング運動において、末梢からの感覚入力は、反射の調節だけでなく、皮質運動野や咀嚼野からの出力系を介する随意運動の制御にも重要な役割を果たしていることが示唆される。

石塚 啓太, 北海道大学歯学部, 6年生

抗がん剤治療後の腫瘍血管内皮細胞の薬剤耐性獲得

薬剤耐性は、がん患者の予後不良の大きな原因である。化学療法後に生き残っている腫瘍細胞は、様々なメカニズムで薬剤耐性能を獲得しており、その一つに薬剤排出トランスポーターの発現亢進がある。これまでわれわれは、腫瘍血管内皮細胞が染色体異常を示し、正常血管内皮細胞に比べて多剤耐性遺伝子MDR1の発現が高いこと、MDR1遺伝子がコードする薬剤排出トランスポーターABCB1を介して、抗がん剤パクリタキセルへの薬剤耐性を示すことを報告した。本研究では、抗癌剤治療そのものが、腫瘍血管内皮細胞の薬剤耐性を誘導している可能性があるのではと仮説を立て、抗癌剤治療による腫瘍血管内皮細胞のMDR1/ABCB1発現変化を検討することを目的とした。
抗癌剤治療後の腫瘍組織において、腫瘍血管内皮細胞のMDR1/ABCB1発現が亢進していた。そのメカニズムの一つとして、抗癌剤が誘導する腫瘍細胞のサイトカインXに着目した。サイトカインXは、腫瘍血管内皮細胞のMDR1/ABCB1を亢進させた。抗癌剤治療が、腫瘍細胞のサイトカイン発現亢進を介して、腫瘍血管内皮細胞の薬剤耐性を誘導していることが示唆された。

梅田 将旭, 徳島大学歯学部, 5年生

口腔扁平上皮癌の新たな浸潤促進因子としてのPeriostinスプライシングバリアントの同定

Periostinは癌細胞のみならず、正常組織や腫瘍間質中の線維芽細胞から分泌される細胞外マトリックスであり、その発現と悪性度との相関が報告されている。我々は、これまでに口腔扁平上皮癌の浸潤に関わる新規因子としてPeriostinを同定し、癌細胞の浸潤、血管・リンパ管新生を介して転移に関与することを報告してきた。最近、発表者はEMTを起こした口腔扁平上皮癌細胞株においてPeriostinが高発現していることを見出した。さらに、Periostinの発現を有さない細胞株においてもTGFβ刺激により、その発現が誘導されることを明らかにした。また、Periostinには9つのスプライシングバリアント(Isoforms)が存在することが最近明らかにされたが、その役割はほとんど報告されていない。そこで、Periostinのisoformsの発現パターンを解析したところ、isoform 3及び 6が特異的に発現することを見出した。さらにisoforms 3及び 6の発現ベクターを遺伝子導入し、浸潤能を検討したところ、isoform 3及び 6は浸潤を促進した。加えて、isoform 6はisoform 3とは異なり、ERKの活性化を誘導することを見出したことから、Isoform 3とは異なる作用機序を介して浸潤能を亢進させる可能性が示唆された。Periostinを起点とした癌細胞の浸潤制御機構の解明が新たな癌治療の開発に貢献できるものと考えられる。

亀田 真衣, 東北大学歯学部, 6年生

新規齲蝕関連細菌Scardovia wiggsiaeの齲蝕誘発能
-酸産生活性とフッ化物耐性-

Scardovia wiggsiaeは、最近の研究で重度の早期小児齲蝕や青年期における白斑齲蝕病変から検出されており新たな齲蝕関連細菌として注目されている。Scardovia属はフルクトース6リン酸経路(F6PPK shunt)という独自の糖代謝経路を有しており、他の齲蝕関連細菌とは糖代謝の性質が異なる可能性がある。そこで、酸産生活性、代謝産物、及びフッ化物への感受性についてStreptococcus mutansとの比較検討を行った。その結果、S. wiggsiaeは主に酢酸を産生したことから、F6PPK shuntを主要な代謝機構として利用することが明らかになった。またS. wiggsiaeはpH 5.5でも十分に酸を産生したことから、う蝕誘発能が高いことが示唆され、さらにフッ化物耐性はS. mutansよりも高かった。S. wiggsiaeの高いフッ化物耐性はフッ化物の利用に際し考慮が必要であると考えられた。酢酸は酸性環境において乳酸よりもエナメル質に浸透しやすく脱灰能が高いという報告があることから、S. wiggsiaeは乳酸産生菌とは異なる機序で齲蝕を誘発・促進することが予想される。今後、S. wiggsiaeのような酢酸産生性でフッ化物耐性の高い細菌のコントロール法の開発が望まれる。

小島 百代, 明海大学歯学部, 4年生

ポビドンヨード液を基準にしたOTCの口臭・口腔内細菌・口腔細胞に与える影響の検討

薬局で販売されているOTC医薬品の口腔機能改善効果を判断するためには、適切な基準薬を選択し、基準薬との相対的な強さを測定することが必要であるが、これまでの研究ではこの点の配慮がなされていなかった。
第3類薬品に属するポビドンヨード液(以下PIと略)は、高い抗菌性と抗ウイルス性を有するため、多くの人が使用しており、基準薬として妥当である。PIの口臭予防効果、抗菌効果、および細胞傷害性を定量化できればOTCの効果を客観的に測定できるという仮説を立てた。口臭(VSC値)、口腔内細菌数、細胞傷害性は、それぞれ、ブレストロン、細菌カウンタ、MTT法で測定した。
PIは強力な細胞傷害活性を示した。PIの傷害性は血清の存在で弱くなることから、非特異的にタンパク質に結合することが示唆された。PIの含漱により、舌、特に、頬粘膜の細菌数が顕著に減少した。PI単体ではVSC値を高めることはないが、PIで含漱すると、瞬間的に高いVSC値を示した。PIが何らかの生体反応を引き起こす可能性が考えられた。
頬粘膜における細菌数の減少と口腔粘膜細胞に対する傷害性との比率の算出は、OTC薬の口腔機能改善作用の評価に有用と思われた。

竿尾 歩, 岡山大学歯学部, 2年生

低フッ素濃度の過飽和溶液によるエナメル質再石灰化の促進

低フッ素濃度の過飽和溶液によるエナメル質再石灰化の促進本発表では、低濃度のフッ化物を含むリン酸カルシウム過飽和水溶液をエナメル質上で乾燥することで、迅速に再石灰化させる新しい方法を提案した。この方法は、数日から数週間連続的にエナメル質を過飽和溶液中に暴露してアパタイトを析出させるというこれまでに提案された再石灰化法と比較して、より短時間での再石灰化を目指したものである。本発表の結果を発展させて、さらに迅速かつ危険性の低い再石灰化処置法を確立することで、一般の患者はもとより、特に在宅医療などで治療環境に制限がある患者や、超高齢社会を迎えて急増する高齢者のう蝕マネージメントの簡便化が期待できる。

榮田 奈々, 鶴見大学歯学部, 6年生

ケラチン75が及ぼす抜け毛と齲蝕の関連性解明のための基礎研究

ケラチン75(KRT75)遺伝子の突然変異は、抜け毛のみならず齲蝕など歯に対しても様々な問題を引き起こす可能性があり、エナメル質にも存在することが報告されているが、その動態については不明である。本研究では形成過程にあるブタエナメル質中のKRT75について免疫組織化学(IHC)、遺伝子およびタンパク実験を行うことを目的とした。IHC実験は、生後5日齢および11日齢のマウス下顎臼歯切片を作製してKRT75抗体を用いた免疫染色を行った。遺伝子実験は、生後約5ケ月のブタ永久切歯エナメル器より基質形成期、移行期、成熟期に相当する領域からtotal RNAを調製してKRT75の遺伝子発現を定量PCRにて分析した。タンパク実験は、同齢のブタ永久第二大臼歯の幼若エナメル質よりKRT75の分離精製を行い、質量分析を行った。生後5日および11日齢マウスにおいてKRT75は中間層に主に局在していた。その遺伝子発現はエナメル質形成過程の全ステージで確認されたが、移行期で特に発現が高かった。さらにタンパク実験では、KRT75が、幼若および成熟エナメル質で検出され、LC-MS/MS分析によりKRT75であることが同定された。以上、KRT75はエナメル質形成過程において他のエナメルタンパク質とは異なる動態を示していることが考えられた。

佐々木 瑛美, 日本歯科大学生命歯学部, 4年生

マウス歯胚への局所照射法は歯根発生における放射線の直接的影響を考察させる

過去にマウスの歯根形成期にエックス線の頭部照射を行い、ヘルトヴィッヒ上皮鞘とその周囲の細胞動態に異常が生じ歯根形成障害を引き起こすことを明らかにした。しかし、頭部照射の照射野には歯胚発生に関わる内分泌器等が含まれるため、放射線が直接的に歯胚にダメージを与えた影響を観察しているとはいえない。そのため、鉛ガラスを用いてマウスの下顎第一臼歯歯胚のみにエックス線を局所照射できる方法を確立した。本研究ではマウスの生後5日齢(P5)に20Gy局所照射後、P13にサンプリングを行い、頭部照射、非照射グループと比較した。
頭部照射マウスのGH、PTHの血中濃度は非照射マウスに比べて約1/2に減少しているのに対し、局所照射マウスでは非照射マウスと同程度であった。局所照射マウスの歯根長は非照射マウスと比べ有意に短く、頭部照射マウスと同程度であった。組織観察において、局所照射マウスは頭部照射マウスと同様の結果を示した。
内分泌器に障害は生じておらず、一方で歯根は頭部照射マウスと同様の組織学的形態異常が観察されたことより、頭部照射により生じた歯根形成障害は放射線の歯胚への直接的なダメージが関与していると考えられた。

澤崎 孝平, 北海道医療大学歯学部, 5年生

エピジェネティクス修飾による新規象牙質再生療法の開発

深在性のう蝕は、抜髄せず歯髄を保護する目的で歯髄保存療法を行うのが望ましい。現在、歯髄保存療法剤として水酸化カルシウム製剤を用いた直接覆髄法が広く行われている。しかし、長期間の水酸化カルシウム製剤の使用は歯髄壊死や病的石灰化を誘発することがある。また、被蓋象牙質の質や形成に要する期間などを考慮すると、改善が必要である。
ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)は、悪性腫瘍に対する分子標的薬剤として近年用いられている。一般的に、HDACiはヒストンのアセチル化亢進を介して、遺伝子の発現を促進させる薬剤である。近年、HDACiが種々の細胞の増殖や分化に影響を与えることが報告されている。HDACiは骨芽細胞の骨形成を促進し、破骨細胞の分化を著しく阻害することが報告されている。我々は、HDACiは象牙芽細胞の分化の促進に関与していると仮定した。本研究では、HDACiによる歯質の硬組織分化誘導について検証した。
HDACiは、象牙芽細胞の分化を促進し、歯髄の石灰化を誘導することが示唆された。したがってHDACiは、歯髄保存療法に有用な可能性がある。

竹内 俊介, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

マウス接触アレルギーモデルにおける口腔粘膜に集積するCD8+ T細胞の制御機構

接触アレルギーはT細胞による遅延型過敏応答であり、皮膚や粘膜へのアレルゲン暴露により誘導される。臨床的アレルギー症状は、皮膚と口腔粘膜では大きく異なるが、その免疫病理学的違いは明らかでない。本研究では、ハプテン感作後に、頬粘膜で惹起する接触過敏モデルを樹立し、頬粘膜と耳介皮膚間での応答の違いについて検討した。頬粘膜惹起は、耳介皮膚に比べ、好中球とCD8+ T細胞の浸潤による急速で激しい組織炎症を呈したが、この炎症は急激に回復した。頬粘膜に集積するCD8+ T細胞は、炎症性サイトカインIFN-γ発現は低く、免疫チェックポイントPD-1発現が高く、増殖マーカーKi-67発現は皮膚と変わらなかったことから、増殖はしているが、最終エフェクターT細胞に分化できずに疲弊細胞に転ずる細胞であることが示された。これが、頬粘膜の激しい炎症が急速に回復する原因と思われた。ピーク炎症時の頬粘膜上皮では、PD-1リガンドであるB7-H1の強い発現が認められ、B7-H1の欠如は過敏応答を加速させたことから、PD-1:B7-H1経路による制御が局所で存在している可能性が示された。本結果は、口腔接触アレルギーの特性の理解に役立ち、接触アレルギー制御の新規戦略を生み出す一助になると思われた。

田中 雄祐, 日本歯科大学新潟生命歯学部, 2年生

歯科診療環境における汚染状況の可視化とその対策

歯科診療においてユニットや電子カルテ記入、予約作成に使われるPCは患者や歯科医師、歯科衛生士など多くの人に利用される。しかし、歯科診療においては治療器具や検査器具の消毒、滅菌が重視され、前述のような部位の汚染は軽視されやすい。また、汚染されていることが予想されていても汚染の程度が不明なため、効果的な対策が立てづらい。そこで、私たちはまずATP拭き取り検査キットと微粒子カウンター、フードスタンプを用いて歯科診療環境の汚染状況を可視化することを試みた。次に測定部位に応じた対応策を実施し、その効果を検討した。その結果、汚染はスピットンやパソコンのキーボードに集中しており、画一的な清拭では汚染状況が改善されなかった。
以上のことから歯科診療環境の衛生状況を良好に保つために画一的な消毒だけではなく、各器具や装置の形状や材質を考慮した衛生管理を行わなければならないと言える。また、歯科診療環境が必ずしも無菌的ではないという認識を患者、医療従事者の両者が持つべきであると考えられる。

土持 那菜子, 福岡歯科大学, 5年生

口腔扁平上皮癌治療抵抗性へのオートファジーの関与

他の癌細胞と同様に、口腔扁平上皮癌(OSCC)の治療抵抗性は解糖系経路(Warburg効果)の最終段階を制御する筋肉型ピルビン酸キナーゼ(PKM2)/還元グルタチオン(GSH)経路に依存している。最近の研究報告は、グルコース供給阻害による解糖系の抑制をオートファジーが補い、PKM2/GSH経路を保持する可能性を示唆している。本研究は、無グルコース培養OSCC細胞における誘導オートファジーによる治療抵抗性の促進について検討した。高グルコース培養OSCC細胞は200μMシスプラチン(Cis)添加により生存率が顕著に減少した。一方、無グルコース培養細胞ではCis添加による生存率の減少はみられず、治療抵抗性を示した。さらに、Cis添加の無グルコース培養細胞では、治療誘導性オートファジーが促進し、PKM2および細胞内GSHの発現が亢進した。以上の結果から、OSCC細胞はグルコース途絶状態においてもオートファジー誘導を介してWwarburg効果を活性化した。OSCC細胞の治療抵抗性は治療誘導性オートファジーにより活性化されたPKM2/GSH経路により促進することが示唆された。

寺本 朱里, 大阪歯科大学歯学部, 4年生

植物由来パパインによる歯の着色予防の研究

赤ワインやコーヒー、紅茶などの食品に含まれる色素は、歯の表面のペリクルに付着して着色の原因となる。歯面上のペリクルに着色物質が吸着してすぐにペリクルを切断することができれば、着色原因物質が歯の表面から離れ、着色を抑制できると考えられる。そこで、特異性の低いタンパク質分解酵素で植物由来のパパインに着目し、パパインがペリクルの主成分である糖タンパク質を切断することで歯面への着色を予防できるか調べた。その結果、ヒドロキシアパタイト(Hap)ディスクに唾液をつけると経時的に着色が促進した。これらの着色をパパインがペリクルを切断することにより抑制すると考えたが、抑制しなかった。さらにHA粉末を使うことにより、一旦、切断したタンパク質の再付着を防ぐようにしたが、同様に着色は抑制しなかった。パパインがHApに結合したタンパク質を分解することは電気泳動により証明されていたのにもかかわらず、着色が抑制できなかったのは、着色物質が歯面における再石灰化とともにエナメル質内部に取り込まれることによって、強固なステインが形成されていく以外に、エナメル質が直接着色するメカニズムがあると考えられる。

中野 雄貴, 日本大学松戸歯学部, 5年生

MDPのカルシウム塩の生成量はMDP含有ワンステップボンディング材のエナメル質および象牙質接着性を表す指標となる?

10-Methacryloyloxydecyl dihydrogen phosphate(MDP)を酸性モノマーとするワンステップボンディング材は臨床において広く使用されている。これは、MDPがボンディングレジンの接着性に影響を及ぼすためである。しかし、MDP含有ワンステップボンディング材の歯質接着性は製品間で異なるのが現状である。本研究の目的は、4種の市販ボンディング材と1種の試作ボンディング材を用いて、MDPのカルシウム(MDP-Ca)塩の生成量がエナメル質および象牙質接着性に及ぼす影響を検討することである。
ボンディング材とエナメル質および象牙質反応生成物を調整し、反応残渣の固体 31 P NMRスペクトルを測定した。この 31 P NMRスペクトルを波形分離し、MDP-Ca塩の生成量を求めた。次に市販および試作ボンディング材について接着強さの測定を行った。
エナメル質および象牙質アパタイトの脱灰過程を通して生成されるMDP-Ca塩の生成量は、歯質アパタイトの脱灰の程度を表し、MDP含有ワンステップボンディング材のエナメル質および象牙質接着性を表す有用な指標であることが判明した。象牙質接着はエナメル質接着と異なり、MDP-Ca塩の生成量との間に負の相関を示した。これは、レジンの接着機構がエナメル質と象牙質とでは異なるためと考えられる。

中南 友里, 九州歯科大学, 6年生

骨格筋代謝におけるNF-κBシグナルの動態とその役割

骨格筋の萎縮は、要支援・要介護の主要な原因である。また疫学研究から骨格筋量が多いと様々な疾病に対する罹患率が低下し、健康長寿であることが明らかであるため、骨格筋の萎縮を予防・治療することは超高齢社会のわが国にとって重要な課題である。転写因子NF-κBは免疫応答、細胞分化や増殖などの様々な生命現象に関連し、骨格筋の萎縮にも関与することが知られているが不明な点も多い。今回、骨格筋代謝におけるNF-κBの役割を明らかにする目的で、①骨格筋線維の分解・減少、②骨格筋幹細胞の増殖、③分化・融合過程におけるNF-κBの動態とその作用を検討した。NF-κBレポーターマウスを用いた実験から、骨格筋線維の分解および骨格筋幹細胞の増殖過程でNF-κBシグナルが亢進した。一方、骨格筋幹細胞の分化・融合過程ではNF-κBシグナルは低下した。さらにTNFα処理で誘導したNF-κBは筋線維の幅径を減少させた。またNF-κBは骨格筋幹細胞の増殖を誘導したが、分化と融合を抑制した。現在、NF-κBの阻害は骨格筋萎縮の有力なストラテジーと考えられているが、骨格筋幹細胞の増殖を抑制しないように骨格筋代謝過程に応じた厳密な NF-κBの制御が必要と思われた。

中村 和貴, 長崎大学歯学部, 6年生

頭頸部がん患者における放射線誘発う蝕のリスク因子

頭頸部がん患者における放射線性顎骨壊死の主な原因の一つに放射線治療(RT)後の進行性う蝕が考えられている。この研究の目的は、放射線性の進行性う蝕の予防法を確立するために、RT後のう蝕発生に関するリスク因子を調査することである。
RTを受けた31名の患者(RT群)と手術単独を受けた25名の患者(対照群)について、治療後1年または2年後のう蝕を調べた。次にさまざまな因子とう蝕の関連について一元配置分散分析および重回帰分析により検討を行った。
RT群のう蝕増加数は対照群よりも有意に多かった。単変量解析では照射野に唾液腺や歯が含まれるとう蝕の増加数は有意に高くなった。多変量解析では照射野に含まれる歯数のみがう蝕増加と有意に関連していた。
これらの所見から、RT後の進行性う蝕の発症機序として、RTによる唾液性障害に起因する唾液減少とならんで、RTによる歯への直接障害が考えられた。

中山 慶美, 愛知学院大学歯学部, 5年生

交感神経細胞は直接α1アドレナリン受容体を介して骨細胞によるRANKL発現を制御する

交感神経は骨芽細胞のアドレナリン受容体を介しreceptor activator of nuclear factor-κB ligand(RANKL)発現を介し骨吸収を制御する。また、生理的な骨吸収は主に骨細胞由来のRANKLによって制御される。しかし、交感神経細胞と骨細胞との機能的な繋がり、およびそのシグナル経路はなお十分には解明されていない。本研究ではマウス骨細胞様細胞、MLO-Y4細胞に交感神経α1B受容体が発現していることを確認した後、ノルアドレナリンとα1受容体作動薬フェニレフリンによりα1B受容体経由でRANKLの発現が増加することを明らかにした。さらに、In vitro共培養系を用い交感神経―骨細胞間の直接的なシグナル伝達の存在を確認した。α1受容体作動薬フェニレフリンにより細胞内カルシウムが増加し、NFATc1の核内移行が増加した。これはα1受容体拮抗薬プラゾシンによりブロックされた。以上の結果から、交感神経細胞と骨細胞とが直接機能的に繋がり、RANKLの発現が増加することが明らかとなった。

洪 珮瑜, 神奈川歯科大学, 3年生

高齢者における義歯装着による咬合回復が水嚥下時の脳活動への影響に関する研究

喪失歯数が増加していく高齢者において、咬合支持を喪失した多数歯欠損に対して、有床義歯補綴装着による咬合回復の状態を脳機能の面から評価する手法は未だない。今回は臨床で簡便に使用可能な軽量小型ワイヤレスfNIRS(functional near-infrared spectroscopy:近赤外分光分析法)を用いた高齢者の義歯装着による咬合回復が水嚥下時の前頭前野における脳活動に及ぼす影響について検討した。
その結果、義歯装着時の水嚥下時のVAS “0”に対して、未装着時の水嚥下時のVASは”72″で、義歯未装着は強い水嚥下困難感を感じていた。その時の脳活動の比較において、義歯未装着時と装着時の酸化ヘモグロビン量(Oxy-Hb)に有意な差が認められた。また義歯未装着時の安静時と水嚥下時の酸化ヘモグロビン量(Oxy-Hb)においても有意な差が認められた。
咬合支持を喪失した片顎以上の無歯顎者に対する可撤性有床義歯による咬合回復は、義歯未装着時に比較して、嚥下状態を脳活動に反映していることが明確になった。これは、高齢者における欠損補綴の意義を脳活動の面から”見える化”を具現化する可能性を示唆している。

前野 真太郎, 朝日大学歯学部, 3年生

若齢期の歯の喪失が海馬の細胞新生に及ぼす影響

これまでに老化促進モデルマウス(SAMP8)において、上顎臼歯を喪失すると、加齢にともない、マウスの寿命の短縮、血中のコルチコステロン濃度の上昇、空間認知能の低下が起こり、老化促進することが明らかになっている。
また、最近の研究により海馬における細胞新生は海馬機能維持に極めて重大な役割を担っており、この細胞新生はストレスの影響を受けやすいことがわかっている。また新生細胞から分化するオリゴデンドロサイトは、中枢において髄鞘形成により跳躍電動を誘導し活動電位の伝導速度を速める役割を担っており、ストレスの影響を受けやすいことがわかっている。
しかし、若齢期の歯の喪失による空間認知能低下と海馬における細胞新生およびオリゴデンドロサイトとの関連は明らかにされていない。若齢期の歯の喪失は慢性的なストレスとして作用し、血中コルチコステロン濃度を上昇させ、海馬における細胞新生が抑制され、オリゴデンドロサイトも減少した結果、空間認知能の低下が生じると考えられるため検証を行った。

三橋 あい子, 昭和大学歯学部, 5年生

重力が歯と骨の恒常性に及ぼす生物学的作用 -メダカを用いた加重力実験-

私達は常に重力のもとで生活しており、骨はその影響を受けやすい組織の1つとして知られる。一方、歯や歯周組織が重力の影響を受けるか否かは不明である。私は、歯の生える方向は重力方向と平行であることから、歯や歯周組織の発生や維持に重力が関係するのではないかと考えた。そこで、国際宇宙ステーション関連事業で開発された生物学的重力実験装置を応用し、破骨細胞が蛍光タンパク質で標識された遺伝子改変メダカに地上の5倍の重力(5G)を負荷しながら飼育することで、重力がメダカの咽頭歯骨や他の組織に及ぼす影響について解析した。その結果、5Gの重力下で飼育したメダカの咽頭歯骨では、その周辺の破骨細胞数とカルシウム沈着量が減少していた。さらに骨代謝に必須のAP-1遺伝子の発現レベルも低下していた。これは、咽頭歯骨を維持する破骨細胞と骨芽細胞の骨代謝回転が加重力により低下したことを示唆する。咽頭歯骨以外では、平衡感覚を司る耳石の形成異常と、脊椎骨の背側への湾曲も認められた。以上のことから、重力は遺伝子発現制御を介して歯や歯周組織の骨芽細胞と破骨細胞による骨代謝回転や、耳石や脊椎骨の恒常性を調節することが示唆された。

山口 久穂, 松本歯科大学, 4年生

スクリューピンに超弾性合金を用いた場合のインプラント体の強度に及ぼす影響
-非線形有限要素解析による検討-

インプラント治療の事故原因は様々であるが、その中にインプラント体の破折も含まれている。インプラント体の破折はアバットメントの動揺によりを引き起こされることから、緩まないアバットメントスクリューの開発が急務である。緩みは、咬合力によりスクリューピンが回転することによって生じる。スクリューピンをより大きなトルクで締結すれば回転を防止できるが、骨と結合しているインプラント体をも回転させてしまい、大きなトルクを掛けることは出来ない。しかしスクリューピンの材料を既存のチタン合金から超弾性合金(Ni-Ti)に変更すれば、温度変化によって締結力を増加させ得ることや、塑性変形による緩みを防止できる可能性がある。そこで、まずNi-Ti合金の機械的性質を引張試験より求めた。得られた物性値を用いて、既存のインプラント体について有限要素法により検討した。その結果、既存の構造においては十分な効果を発揮し得ないことが判明した。このため超弾性効果が発揮できるよう、スクリューピンならびにインプラント体を再設計して解析したところ、緩みの発生しないスクリューピンを作成することができることが判明した。

山下 紗智子, 鹿児島大学歯学部, 4年生

骨形成タンパク質9(BMP9)は骨芽細胞におけるNotchエフェクター分子Hes1の発現を誘導する:その分子機構および機能的意義についての解析

骨形成タンパク質(BMP)は、骨形成能を有する一群のサイトカインであり、特にBMP9は、強い骨芽細胞分化促進能を有し、口腔領域を含めた骨再生療法への応用が期待されている。私達の研究室では、BMP9が骨芽細胞におけるHes1の発現を増加させることを最近明らかにした。Hes1は転写調節因子であり、Notchシグナルのエフェクター分子として知られる。マウス骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞、およびマウス初代培養骨芽細胞をBMP9で刺激し、Hes1のmRNAとタンパク発現量を調べると、周期的な発現パターンが誘導された。Notchの上流シグナル阻害剤およびBFAによる前処置は、BMP9によるHes1発現誘導に有意な影響を与えなかったことにより、BMP9は、Notchやその固有リガンドの発現誘導を介さずに、Hes1の発現を直接的に骨芽細胞内に誘導することが明らかになった。また、骨芽細胞の分化段階は、BMP9によるHes1の誘導に著明な影響を与えなかった。次に、siRNAを用いたHes1のノックダウン実験によって、骨芽細胞のBMP9反応性におけるHes1発現の機能的役割を解析した。

渡邊 輝, 奥羽大学歯学部, 4年生

頸神経ワナの位置測定による頸部郭清時の舌骨下筋群の保護

頭頸部のリンパ節転移に対して頸部郭清術を行うが、その術中、頸神経ワナの保護は術者によって異なっていた。そこで今回、頸神経ワナ保護のために周囲構造物との位置関係の測定を行った。測定方法は胸鎖乳突筋を利用する方法(1)、舌骨体中心部の高さと頸神経ワナのループ下端の距離、舌骨体から鎖骨と内頚静脈との交点の距離の割合を測定する方法(2)、総頚動脈の外頚動脈と内頚動脈との分岐点を利用して測定する方法(3)の3つとした。(1)では胸鎖乳突筋の上端から52~66%の範囲に交点が集中していた。これは胸鎖乳突筋切断時に上端から2/3より下方で切断すれば、損傷のリスクの低減が可能であると考えられる。(2)では舌骨体中心の位置から下方に約35㎜の地点、距離の割合で52.0±10.8%に頸神経ワナの下端が存在することを示した。これも切断リスクの低下に役立つと考えられる。(3)は頸神経ワナの位置を触診で推定できる利点があり、分岐点の下方、約40~64㎜の範囲に頸神経ワナのループの下端が存在していた。これらの結果を併用することで、頸部郭清時の頸神経ワナ切断のリスクを低下させ、患者のQOL向上に役立つと考えられる。

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駒林卓先生(3期)の専門書が出版されます

2017 年 11 月 10 日 コメントはありません

SCADA-Japan 3期OBで 現在は米国 West Virginia University School of Dentistry, Department of Endodontics で教授としてご活躍の駒林卓先生が専門書 【Clinical Cases in Endodontics】 を出版されるこことなりました.
英語の書籍となりますが,日本のアマゾンでも取り扱われるようですので,ぜひお手元に一冊いかがでしょうか?

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速報:第23回SCRP日本代表選抜大会

2017 年 8 月 22 日 コメントはありません

2017年8月18日(金),歯科医師会館に於いて,平成29年度(第23回)日本歯科医師会/デンツプライシロナ スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラムが開催されました.

4名が上位入賞されましたので,お知らせ致します.

優勝/日本代表 - 基礎部門 第1位:吉野 舞 さん,広島大学歯学部 5年生 
単一細胞トランスクリプトミクスによる骨芽細胞の多様性の解析
Single-cell transcriptomics uncovers the diversity of osteoblasts

準優勝 – 臨床部門 第1位:福留 彩音 さん,日本大学歯学部 5年生
歯槽骨吸収予測指標としての歯肉溝滲出液中ストレスシグナリングの解析と臨床応用への検討
Stress signaling network in the gingival crevicular fluid as an indicator of alveolar bone resorption :prospects for clinical applications

基礎部門 第2位:松本 夏 さん,大阪大学歯学部 4年生
オートファジー誘導能にはカリウム流入を抑制するホスファターゼが必須である
Autophagy induction requires phosphatases inhibiting potassium influx

臨床部門 第2位:柳田 陵介 さん,東京歯科大学歯学部 5年生
フッ化物微量拡散法による乳児一日フッ化物摂取量評価
Estimation of daily fluoride intake of infants using the microdiffusion method

その他および詳細は,追ってupdate予定です.

取り急ぎ,上位入賞者の情報のみを速報としてお知らせいたします.

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第22回大会

2017 年 1 月 8 日 コメントはありません

第22回大会 2016年(平成28年)8月19日 参加校29校(歯科大学全校参加)

タイトルおよび発表内容要旨 (上位入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝/日本代表 – 基礎部門 第1位:神園 藍, 鹿児島大学歯学部, 4年生

Syk活性阻害は間葉系幹細胞の骨分化を促進し脂肪分化を抑制する

間葉系幹細胞(MSC)は培養条件により骨芽細胞や脂肪細胞へと分化できる多能性幹細胞である。MSCは歯周病による骨欠損を再生医療で回復させる有用な移植源であるが、MSCを骨芽細胞へと分化させる初期段階の分子機構には不明な点が多い。
我々はSyk(Spleen Thyrosine Kinase)と呼ばれる非受容体型チロシンキナーゼに着目し、MSCの骨及び脂肪分化におけるSykの機能を検討した。Sykは未分化MSCに強く発現し、骨芽細胞と脂肪細胞への分化に伴い発現が急激に低下した。MSCにSyk特異的阻害剤を施すと、骨分化に伴う石灰化基質形成とOsteocalcinの発現が上昇した。一方、脂肪分化による脂肪滴形成とFabp4の発現は減少した。次にSykの下流シグナル経路を検討したところ、Sykは骨分化時にはPLCγ1を、脂肪分化ではPLCγ2を特異的に活性化し、本シグナルの選別にはSykアダプター分子のGrb2とBLNKが関与していた。更に、Sykの骨分化制御機構には抑制性転写因子Hes1が関与することが示唆された。
本研究により、Syk活性を阻害することでMSCの骨分化を促進し、脂肪分化を抑制できることが分かった。Syk阻害剤は破骨細胞機能を抑制することが報告されており、Sykの機能抑制は骨形成を促進し、骨吸収も抑制する薬剤として骨再生療法に応用できる可能性がある。

 

準優勝 – 臨床部門 第1位:加藤 みなみ, 広島大学歯学部, 4年生

Porphyromonas gingivalisの歯性感染は肝星細胞を活性化し非アルコール性脂肪性肝炎の病態を進行させる

非アルコール性脂肪性肝炎 (NASH; nonalcholic steatohepatitis) は、肥満に伴う慢性肝疾患で、肝硬変や肝癌などの重篤な疾患へ進行する可能性がある。私が所属する研究室では、Porphyromonas gingivalis (P.g.) 歯性感染が肝臓の炎症や線維化の促進を介しNASHの病態増悪に関わることを報告した。肝星細胞は肝線維化に寄与する細胞で、TGF-β1により活性化される。よって、私はP.g.感染が肝星細胞の線維形成分化やTGF-β1産生に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。①NASHモデルマウスへのP.g.歯性感染は肝線維化領域を有意に増加させた。②非脂肪化/脂肪化肝星細胞へのP.g.感染は、Smad やERK経路を活性化し、線維形成分化マーカーの発現を誘導した。TGF-β1刺激肝星細胞でも、同様の変化がみられた。また、P.g.感染は肝星細胞のTGF-β1産生を特に脂肪化細胞で有意に増加させた。以上、P.g.感染により肝星細胞から産生されるTGF-β1が肝星細胞を線維形成細胞へと分化させ、線維化を促進し、NASHの病態を増悪させることが明らかとなった。

 

基礎部門 第2位:小村 晃広, 大阪歯科大学, 4年生

フッ素置換脂肪酸を用いた歯面の化学修飾による着色予防

歯の着色の主な外的要因は飲食・喫煙で口腔内に侵入してくるポリフェノール類やタールといった色素成分である。これらの色素成分が歯面上にあるタンパク質と複合し、強固なステインが形成するとされる。すなわち、歯面上に色素成分をはじくようなコーティング層を形成すれば、着色原因物質が結合できなくなり、根本的に着色を抑制できると考えた。そこで本研究では、水および油をはじくフッ素樹脂(PTFE)と同様の化学構造を有するフッ素置換脂肪酸(PFFA)を用いて歯面上をコーティングすることで、紅茶による着色が低減されるか検討した。その結果、PFFAエタノール溶液(100ppm)に浸漬させて歯面を化学修飾した場合に、効果的に紅茶による着色を抑制できることが分かった。また、歯面上のタンパク質を完全除去した検討では、PFFAによる着色抑制効果が見られなかったため、PFFAの歯面への定着に歯面上にあるタンパク質が関与していることが示唆された。以上の結果から、フッ素含有有機化合物を用いた歯面の化学修飾による新しい着色予防法の可能性が見出された。

 

臨床部門 第2位:小湊 広美, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

腫瘍細胞における放射線照射後の細胞周期動態が放射線感受性に及ぼす影響

放射線治療は口腔がんに対して有効な治療法のひとつである。口腔がんをはじめとして多くの腫瘍細胞では遺伝子変異等によりp53の機能が失われている。したがって、放射線照射によって生じるDNA二重鎖切断は、主にG2/Mチェックポイントを活性化し、細胞周期をG2/M期で停止させるG2アレストを引き起こす。G2アレストの間にDNA損傷が修復されると考えられているため、放射線照射後の細胞周期の変動が放射線感受性に影響することが予想される。しかしながら、従来の方法では、この関係を詳細に調べることは技術的に困難であった。近年、Fluorescent ubiquitination-based cell cycle indicator(Fucci)と呼ばれる細胞周期動態をリアルタイムに可視化できるシステムが開発された。本研究では、Fucciを用いて、放射線照射後の細胞周期動態を解析し、G2アレストから早期に解除される細胞群と解除されない細胞群を同定した。さらにこの2つの細胞群の間で放射線感受性が異なることを示した。以上の結果から、放射線照射後の細胞周期動態が放射線感受性に影響を及ぼす可能性が示された。

 

浅野 一磨, 東京歯科大学, 4年生

象牙芽細胞は細胞膜機械刺激をTRPV4とPiezoチャネルで受容し、歯髄ニューロンに感覚情報を伝達する

象牙質への刺激は象牙細管内液移動を誘発する。本研究では、象牙芽細胞が象牙細管内液の移動による細胞膜の伸展機械刺激を受容し、歯髄感覚ニューロンに情報伝達することで象牙質の痛みを発生させると仮説した。そこで、1) 象牙芽細胞の機械受容センサータンパク質のイオンチャネル機構、2) 象牙芽細胞と歯髄ニューロン間の感覚情報伝達機構を検討した。その結果、1) 象牙芽細胞への機械刺激はTRPV4チャネルとpiezo-1チャネルで受容されること、2) piezo-1チャネル活性化に続いて歯髄ニューロンに活動電位が生じることを明らかにした。象牙芽細胞は、象牙細管内液の移動による機械刺激をTRPV4チャネルとpiezo-1チャネルで受容し、神経伝達物質 (ATPとグルタミン酸) の放出を活性化する。これら伝達物質は歯髄ニューロンを興奮させることで象牙質痛が発生する。今回、象牙質痛の発現に関する機械受容メカニズムと神経への感覚情報伝達機構の詳細を明らかにし、仮説の一部を証明できた。これらの知見は、歯科疾患を有する患者に頻繁に見られる歯痛の発生メカニズムの理解を促し、疼痛制御技術の新規開発への根幹をなす。

 

飯島 由羅, 愛知学院大学歯学部, 4年生

歯周病関連細菌Porphyromonas gingivalisのMfa1線毛形成とType IX分泌装置との関連の検討

歯周病関連細菌Porphyromonas gingivalisは、バイオフィルム形成に深く関係するMfa1線毛を発現している。本線毛は、Mfa1、Mfa3、Mfa4およびMfa5タンパク質より構成されるが、その形成メカニズムは不明な点が多い。Mfa5にはType IX secretion system (T9SS)により認識される C-terminal domain (CTD)をコードする領域が存在する。本研究では、Mfa5のCTD削除株(mfa5ΔCTD)およびporU(T9SSに関わるC末端シグナルペプチダーゼをコードする遺伝子)変異株(ΔporU)を作製し、Mfa5の輸送と線毛発現に及ぼす影響を検討した。mfa5ΔCTDの精製線毛にはMfa3、Mfa4およびMfa5が認められなかった。mfa5ΔCTDおよびΔporUでは、菌体での線毛発現量が親株と比較して有意に低下し、Mfa5が菌体内に蓄積した。以上の結果から、Mfa5がCTD依存的にT9SSにより細胞表面に運ばれ線毛に組込まれること、Mfa1線毛の発現とMfa3およびMfa4の組込みに必要なことが考えられた。

 

井上 敬介, 福岡歯科大学, 4年生

Porphyromonas gingivalis 由来LPSはmTORを介して細胞老化を誘導する

Porphyromonas gingivalis由来リポポリサッカライド(pgLPS)が、老化促進因子の1つと される酸化ストレスを引き起こすとの報告があり、また慢性歯周病と細胞老化の特徴であるテロメア長の短縮との関連が報告されているが、これまでのところ歯周病と老化誘導の関連性については殆ど解明されていない。本研究では、「pgLPSが老化誘導に働く」との仮説に立ち、細胞老化を引き起こす可能性と、その作用メカニズムとを併せて検討した。pgLPSは、老化マーカーSA-β-Gal及び、γ-H2AXを増加させた。しかし、他の老化誘導剤で観察されたp53活性化を起こさなかった。一方、pgLPSは、mTOR(オートファジー抑制因子)の活性化を増加させた。また、mTOR阻害剤及び、PI3キナーゼ阻害剤は、pgLPSによる老化マーカーの発現を抑制した。以上の結果から、pgLPSは、一般的な老化誘導に見られるDNA損傷からp53活性化に至る経路とは異なり、TLR4受容体結合後、PI3キナーゼ活性化、そしてmTORの活性化に至る細胞内シグナル経路が関与する機序によって老化誘導に働くことが示唆された。

 

江上 佳那, 北海道医療大学歯学部, 5年生

ワイン絞り粕(パミス)の歯周病予防効果

ワイン絞り粕(パミス)は、ワイン製造過程において、ブドウを圧搾することで排出される。パミスは本邦で大量に発生しており、産業廃棄物として処理するには多額の費用を要するが、現在、この有効な利用法は、堆肥や飼料に限られている。近年、歯科領域では、S. mutansなどのう蝕病原細菌に対する抗菌作用のあることが報告されているが、歯周病原細菌に対する抗菌作用や歯周組織に対する影響に関する報告はほとんどみられない。我々は、パミスの歯周病原細菌に対する抗菌作用を明らかにし、パミスを歯周病予防に活用することで廃棄物を低減できると考えた。本研究では、歯周病原細菌および歯肉上皮細胞に対するパミスとその主成分であるオレアノール酸の効果を解析し、さらにパミス含有の錠剤を試作し、ヒト唾液中の歯周病細菌数と一種の抗菌ペプチドの発現量への影響を検討した。
パミスは歯周病原細菌の増殖を抑制し、口腔上皮から産生される抗菌ペプチドであるPPBPの分泌を促進することが明らかとなった。以上の結果から、パミスには歯周病予防効果があり、オーラルケア製品に応用できるものと考えられ、パミスの新たな有効利用につながることが示唆された。

 

加藤 志奈, 日本大学松戸歯学部, 3年生

歯科診療室内の浮遊微粒子群が細胞に与える影響

歯科診療室内には様々な歯科材料の粉塵が放出されている。比較的大きな粒子はすぐに排泄され、1μm未満の粒子は肺胞にまで達し、健康に害があるとされる。歯科医療スタッフは診療室内で診療に長時間従事することや観血的処置に伴う患者への為害作用を考えると、粉塵による診療環境について知識を蓄積していることは重要と考えられる。本研究では、生体内に流入した浮遊微粒子による炎症誘導や排除機構に関わる影響を検討するためTHP-1誘導マクロファージを用いて免疫学的特性を検討した。
THP-1由来マクロファージ細胞に粉砕した歯科材料を添加して細胞に与える影響を検討したところ、リライン材や即時重合レジン添加群では、LPS刺激と同様な値を示したが、硬石膏添加群で認めることはできなかった。また、炎症性サイトカインの産生も同様な結果を得た。これらのことから、歯科材料により細胞に与える影響が大きく異なることが示された。
歯科診療室内の浮遊微粒子による健康への影響が懸念されている。特に、硬石膏は細胞活性や炎症性サイトカインの産生も認められないことは生体内における異物に対する生体応答が生じないため、健康被害が懸念される。

 

斎藤 諒, 奥羽大学歯学部, 2年生

アドレナリン添加局所麻酔薬による血管収縮作用の組織学的研究

アドレナリン添加局所麻酔薬は歯科臨床で頻用されている。しかし、その血管収縮作用は血中濃度で研究されているため、実際の血管収縮量は明らかでない。そこで、アドレナリン非奏効部と奏効部の組織切片を採取し、血管内径差から血管収縮量を定量した。
Wistar系ラット雄(10週齢、230g)を用いた。セボフルラン全身麻酔で左口腔粘膜へ8万倍希釈アドレナリン添加2%リドカイン0.2mLを注入し、組織を4%ホルマリン灌流固定した。組織標本作成後、抗SMA抗体で血管平滑筋を免疫化学染色した。その組織切片を観察し、デジタル画像処理ソフトウエアでアドレナリン非奏効部と奏効部の血管内径を測定した。統計はMann-Whitney U testで行い、危険率5%未満を有意とした。
両条件で200以上の血管を観察した。血管内径(中央値)はアドレナリン非奏効部15.2μm、奏効部7.8μmであり、強い有意差を認めた(P=0.0000001)。
8万倍希釈アドレナリン添加2%リドカインによる血管収縮が組織学的に確認され、血管収縮率は内径で49%であった。よって、8万倍希釈アドレナリン添加2%リドカインにより血管内径は約半分になることが示唆された。

 

佐藤 孝紀, 北海道大学歯学部, 6年生

催吐薬エメチンの作用機序に関する研究
-用量依存性と最後野ニューロン活動に対する影響-

エメチンは、催吐薬である吐根の成分であり、非常に強い嘔気を誘発することが知られているが、その 作用機序については不明な点が多い。そこで本研究では、味覚嫌悪学習の成否と最後野における 神経活動の変化を指標として、エメチンの催吐作用を定量化することを目標とした。Wistar系雄性ラット (250~350g)を用いた。味覚嫌悪学習ではサッカリンを条件刺激、エメチンの誘発する嘔気を無条件刺激として条件付けを行い、種々の濃度(0.03、0.1、0.3、0.5、1.0、3.0 mM)のエメチン 投与に対するサッカリン飲水量の変化を計測した。エメチン投与後ラットを灌流固定し、c-Fosタンパクの免疫染色を行い、最後野の神経活動の変化を計測した。エメチン濃度0.5 mM、1.0 mM投与群においてサッカリン飲水量は有意な減少を認めた。用量-反応曲線からED50は0.35 mM程度であると推定された。化学受容性嘔吐誘発域である延髄最後野では、エメチン1.0 mM投与群においてc-Fosタンパク陽性細胞数の有意な増加を認めた。エメチンは用量依存的に催吐作用を示し、最後野ニューロンの活動上昇に伴って嘔気が惹起されたと考えられた。

 

鈴江 正義, 長崎大学歯学部, 5年生

チタンへのさまざまな表面処理が接着力に与える影響

研磨紙による研磨、アルミナブラスト、熱処理、アルカリ処理などのさまざまな表面処理をチタンに施した後、チタン金属表面とエポキシ付きピンの接着力を観察することが本研究の主要な目的である。
今回の研究では、表面の粗さを生み出すために、粗さ400~1500番のSiC研磨紙研磨とアルミナサンドブラストを行った。熱処理は粗さ400番の研磨紙で研磨した試験片に対して、400~800℃の処理温度で行った。アルカリ処理は、濃度5MのNaOH、KOH 溶液を用いて60℃で行った。処理後の試験片の性状を明らかにするために、SEM、TF-XRD、引張試験を利用した。
チタンの表面はSiC研磨紙研磨とアルミナサンドブラスト処理後に粗くなり、接着力は処理後の方が高かった。表面が滑らかなほど接着力は低かった。処理温度400~800℃で熱処理を施した試験片は、それぞれ異なる接着力を示した。処理温度650℃で接着力が最高になった。TF-XRDの結果より、600℃でアナターゼが最も多かった。NaOHのナノ構造はKOHのナノ構造に比べて短く太く、引張試験ではNaOH処理を施した試験片の方が高い接着力を示した。

 

瀬川 裕之, 明海大学歯学部, 3年生

マンゴスチン由来成分が口腔癌の増殖・進展に及ぼす影響

口腔癌においては、一般に化学療法、放射線療法および外科療法による集学的加療が行われているが、副作用や機能的欠損は避けられず、またその解剖学的な特徴から術後のQOLに大きな影響を及ぼす。一方、熱帯果実の女王として知られるマンゴスチンの果皮部分にはポリフェノールの1つであるキサントンが存在し、中でもα-Mangostinにおける抗腫瘍作用が報告され、自然食材のため生体にとって毒性の少ない抗腫瘍剤としてその効果が注目されている。α-Mangostinの抗腫瘍効果として、多様な悪性腫瘍に対してアポトーシス誘導と癌遺伝子c-myc発現低下を介しての細胞増殖の抑制が知られているが、口腔癌に対しては不明である。そこでα-Mangostinの口腔癌に対する増殖・浸潤抑制の検索を行った。ヒト口腔癌のc-myc発現株にα-Mangostin、TRAILを 共同作用させた際の増殖抑制及びアポトーシスの状態および細胞周期について解析した。以上の結果、α-MangostinはTRAILと共同して、アポトーシス細胞死を介して口腔癌治療に貢献する可能性を秘めている事が示唆された。

 

関本 愉, 日本大学歯学部, 5年生

若年健常者における嗅覚・視覚刺激による唾液分泌量および成分解析と咳反射の閾値に関する研究

摂食嚥下障害患者に対する治療やリハビリテーションの研究は、様々なものが報告されている。しかし、食物を認識する先行期が摂食嚥下機能に及ぼす影響を検討したものは少ない。近年、サブスタンスP濃度や唾液分泌量が摂食嚥下機能の向上に関与するという報告があり臨床的に注目されている。そこで、先行期に影響を与える嗅覚・視覚刺激が唾液の分泌量および唾液中のサブスタンスP量に及ぼす影響を検討した。実験は以下の条件(①安静時、②嗅覚刺激因子 1、③嗅覚刺激因子 2、④嗅覚刺激因子 2+視覚刺激:因子 3)において唾液を採取した。全ての条件後に咳テストを行い、むせやすさを確認した。その結果、因子 1は他の条件と比較して、サブスタンスP量を増加させた一方、唾液分泌量を減少した。因子 2、3はサブスタンスP量に影響を与えなかったが、唾液分泌量を増加させた。いずれの因子もむせやすさに影響を与えなかった。したがって嗅覚・視覚刺激は、唾液分泌量および唾液サブスタンスP量に影響を与える可能性が示唆された。このことから、摂食嚥下障害の病態に有効な先行期の刺激因子を選択することが、摂食嚥下機能の向上に寄与することが示唆された。

 

高橋 颯, 岩手医科大学歯学部, 4年生

細胞特異的蛍光タンパク発現マウスと組織透明化を用いた組織3次元イメージング解析

【問題点】我々は、発生中の組織はその構造が時間とともに大きく変化する事を学んだ。しかし、通常の組織切片から、それを立体的にイメージし理解するのはとても困難と感じた。
【仮説】遺伝子改変マウスと組織透明化技術を用いることで、組織を3次元的に観察する新たな技術を構築することができるのではないか。
【方法】口腔上皮に赤色蛍光タンパクが発現するマウスと、新生血管に緑色蛍光タンパクが発現するマウスをかけあわせたマウスから下顎骨と唾液腺を摘出し固定、脱灰後(下顎骨のみ)、組織透明化液に浸漬した。これらをライトシート顕微鏡で撮影し、3次元構築をおこなった。
【結果】マウス下顎骨、唾液腺に対して最も効率の良い組織透明化の手法を確立した。ライトシート 顕微鏡によって3D画像を構築し、それらの組織における血管侵入様式を詳細に観察する事ができた。
【結論】本研究にて確立された技術は、組織の立体構造を直感的かつ正確に理解するのに大変有用であると考えられた。今後この技術を利用して、新たな組織発生メカニズムが解明されると期待できる。

 

髙濱 暁, 松本歯科大学, 4年生

RELM-β/FIZZ2の歯根形成過程における局在

Resistin-like molecule-β/found in inflammatory zone 2(RELM-β/FIZZ2)は消化管や肺胞上皮で局在が認められる分泌タンパク質で、糖代謝や炎症に関与すると考えられている。本研究では、歯の発生過程におけるRELM-β/FIZZ2の局在を明らかにする目的で、免疫組織化学的に 観察を行った。蕾状期歯胚において、歯槽骨周囲で陽性反応が認められたが、歯胚内部に特異的な反応は認められなかった。帽状期および鐘状期では、一部の内エナメル上皮で弱い陽性反応が観察 されたが、他のエナメル器、歯乳頭および歯小嚢は陰性であった。歯根形成期になるとヘルトヴィッヒ 上皮鞘の細胞が陽性反応を示し、ヘルトヴィッヒ上皮鞘と歯乳頭および根尖部象牙質との間にRELM-β/FIZZ2陽性の基質が認められた。この陽性反応は、歯根が伸張しOsteopontin陽性のセメント質基質が形成されると歯根上部で消失したが、ヘルトヴィッヒ上皮鞘近傍では局在が維持 されていた。以上の結果から、RELM-β/FIZZ2はヘルトヴィッヒ上皮鞘の細胞が歯乳頭側へ分泌し、歯根の伸張ならびにセメント質形成を調節している可能性が示唆された。

 

武田 渉, 新潟大学歯学部, 4年生

好中球エラスターゼがマクロファージの貪食能およびサイトカイン産生に及ぼす影響

細菌性肺炎が重症化すると、好中球はエラスターゼを放出し、病原細菌を分解することで生体防御に関与する。一方、好中球エラスターゼは自己組織を傷害する可能性が報告されている。しかし、好中球エラスターゼが宿主の感染防御機構にどのような影響を及ぼしているかは不明である。本研究では、好中球エラスターゼがマクロファージの貪食能およびサイトカイン誘導能に与える影響を解析した。THP-1細胞をPMA含有培地にて培養し、マクロファージ様細胞に分化させた。分化した細胞に好中球エラスターゼを添加し、マクロファージに対する細胞傷害性および貪食能に及ぼす影響を解析した。続いて、好中球エラスターゼがマクロファージのサイトカイン産生量に及ぼす影響を解析した。解析結果より、好中球エラスターゼはマクロファージの生存率に影響を与えなかったが、マクロファージの貪食能を約70%低下させた。また、IL-6、IL-8、およびTNF-αの産生を減少させた。以上より、過度の好中球エラスターゼの放出は、宿主の自然免疫応答を抑制し、感染拡大の一因となる可能性が示唆された。

 

武部 克希, 大阪大学歯学部, 4年生

肺炎球菌のコリン結合タンパク質が病原性に果たす役割の解析

肺炎球菌は、市中肺炎の主たる原因となる口腔レンサ球菌である。本研究では、肺炎球菌の機能未知な菌体表層タンパク質に着目し、その病原性に果たす役割の解析を試みた。
ゲノムデータベースを用いた相同性検索から、菌体表層タンパク質である16種類のコリン結合タンパク質を選出した。16種類のうち、機能未知である3種類のタンパク質について菌株間における分布を確認した。その結果、CbpJとCbpLの2種類のタンパク質が肺炎球菌に広く保存されていることが示唆された。バイオインフォマティクス解析から、CbpJは推定シグナル配列とコリン結合リピート 以外のドメイン構造を持たないが、CbpLはそれらに加えてカルシウム結合ドメインを持つことが示された。次に、相同組換えを利用して各遺伝子の欠失変異株を作製した。野生株と遺伝子変異株を用いてマウス肺炎モデルにおける病原性の変化を比較したところ、cbpL遺伝子欠失株は野生株と大きな病原性の差が認められなかったが、cbpJ遺伝子欠失変異株の病原性は有意に低下した。これらの結果から、CbpJは肺炎球菌の新規病原因子であることが示唆された。

 

梨本 尚, 日本歯科大学新潟生命歯学部, 3年生

各種清涼飲料水の酸蝕効果とStreptococcus mutansの増殖に与える影響について

本邦で市販されている清涼飲料水は低pHを示すものが多く、習慣的に摂取する者では酸触症の発生が危惧され、微小な酸触症の蓄積はう蝕発生への足掛かりとなることが危惧される。そこで、私達は 各種清涼飲料水中に含まれるリン酸濃度とpHを測定すると共に、硬組織試験片としてヒト抜去歯からエナメル―象牙質ディスクを作製し、実験的に各種清涼飲料水中で振とう培養することにより、溶液中に溶出したCa濃度をメタロアッセイ法および原子吸光法で測定した。あわせて、各種清涼飲料水がStreptococcus mutansの増殖に与える影響についても検討した。その結果、各種清涼飲料水のpHは3~4、リン酸濃度は60.0㎎/dl前後を示した。各種清涼飲料水中へのCa溶出量は、8.0~12.0㎎/dlであった。さらに、各種清涼飲料水中のStreptococcus mutansのコロニー数は、対照群の100分の1以下に減少した。
以上の結果から、各種清涼飲料水中には高濃度のリン酸が含有されているものが多く、その結果として溶液のpHは3~4前後を示し、歯の酸蝕に影響を与えるものと考えられる。また、この低pHは、耐酸性であるStreptococcus mutansの生息域をも超えるものだと考えられる。

 

福田 浩信, 鶴見大学歯学部, 3年生

オピオイドペプチドBCM7を分解する口腔内乳酸桿菌のDPPⅣ活性の調査

牛乳中の主要タンパク質であるカゼインの一種、A1βカゼインから、体内での吸収過程においてβ-casomorphin7(BCM7)というオピオイドペプチドが形成される。健常者ではBCM7は体内でDipeptidyl Peptidase-Ⅳ(DPPⅣ)酵素によって分解されるが、自閉症者や一部の乳幼児ではこの酵素が欠乏しているため体内へ蓄積され、自閉症悪化や小児の突然死の一因と報告されている。これまでの研究で一部の乳酸菌にDPPⅣ活性があることがわかっており、上記疾患の予防に役立つと仮説を立てた。そこで、健常ヒト口腔から分離した乳酸菌のDPPⅣ活性を調べた。菌体の抽出成分と酵素基質とを反応させた後の吸光度を比較したところ、70株中11株が陽性を示した。そのうち5株は非常に高い活性を示し、2株はL.salivariusL.crispatusであった。高活性が明らかで陽性対照として用いたのはL.gasseriであったが、同菌種の別菌株では非常に活性が低かったことから、DPPⅣ活性は乳酸菌の菌種ではなく菌株に依存すると思われた。本研究から口腔常在Lactobacillusの10-20%程度にDPPⅣ活性の高い菌株の存在が明らかになった。今後は、集団検診などで簡便に検出する方法を開発する研究が必要であり、高活性株を摂取するという新たなプロバイオティクスを期待させた。

 

本田 梓, 徳島大学歯学部, 5年生

血行動態変化を予測できる非侵襲的な動的指標を求めて

歯科治療中の体位変換や全身麻酔導入後の突然の低血圧は、心筋虚血・脳虚血などの重篤な合併症の引き金となる。今回、非侵襲的なモニターとして頻用されているパルスオキシメータによる脈波形の呼吸性変動(PVI)が、輸液反応性や低血圧を予測する指標となり得るかどうかを後ろ向きに検討した。
全身麻酔下口腔外科手術患者の麻酔記録をデータサーバから参照し、PVIが一回拍出量変動(SVV)と同様に、膠質液投与後の一回拍出量増加(≥10%)を予測できるか受信者操作特性(ROC)曲線を用いて解析した。PVIはSVVと同程度の感度、特異度をもって輸液反応性の有無を予測することが可能であった。続いてPVIが全身麻酔導入後の低血圧(≥30%)を予測することができるかどうかを評価した。PVIは閾値14.9%、感度93.3%、特異度91.7%で低血圧を予測できた。また、ROC曲線下面積が0.96と高い予測信頼度が得られた。
パルスオキシメータの呼吸性変動は、循環血液量不足や血圧低下を高い感度、特異度をもって予測することが可能であり、合併症回避のための有用な非侵襲的モニターになると思われる。

 

丸 恵莉香, 日本歯科大学生命歯学部, 5年生

印象術式の違いが術者のストレスに与える影響

本研究では、デジタル技術を援用した印象術式と従来から使用されている2種類の印象術式とが、術者へ与えるストレスについて検討を行った。
印象採得経験者として臨床研修医を、印象採得未経験者として学部1年生を研究協力者とした。印象採得の対象として、上顎左側第1小臼歯へのCAD/CAMレジンクラウンを想定した支台歯を選択した。印象術式は、精密印象法である全顎用既成トレーを用いた寒天・アルジネート連合印象法、全顎を対象とした個人トレーによるシリコーン単一印象法、口腔内スキャナーを用いた光学印象法の3種類を選択した。被験者から得られた印象採得前のアミラーゼ活性値から後に得られた値を減じ、絶対値とすることで各被験者におけるストレスの変化量と設定した。結果から、光学印象はアルジネート印象、シリコーン印象と比較して、優位に低い変化量と短いチェアタイムとを示した。アルジネート印象とシリコーン印象の間に差は認められなかった。また、印象経験の有無、印象術式の違いについては、どの条件においても有意な差は認められなかった。
以上のことから、光学印象は、チェアタイムも短く、術者に対してストレスの変化が少ない印象法であることが示唆された。

 

村田 亜志美留, 神奈川歯科大学, 3年生

イヌと飼主間でのイヌ口腔細菌の疫学と伝播

イヌは、日常生活で家族の一員として密接な関係にあるコンパニオンアニマルである。Porphyromonas gulaeは、イヌの歯周炎に関連した黒色色素産生偏性嫌気性菌であり、ヒト口腔には存在せずイヌ 口腔で検出される主要な菌種の1つである。そこで、P. gulaeのイヌと飼主間での伝播の可能性を検討するため、P. gulaeの存在をイヌと飼主の口腔内試料で検討した。6匹のイヌ(1-14 yrs.)と飼主7名 (5-63 yrs.) の歯垢を滅菌綿棒により臼歯部の歯頸部から採取した。P. gulae分布の決定には、16S rRNAを利用したPCR反応により行った。ヒト歯肉線維芽細胞への付着とサイトカイン生産誘導能について検討した。さらに、P. gulae ATCC 51700株の生菌を3週齢雄性SDラット口腔へ直接接種後、歯槽骨吸収量を測定した。その結果、P. gulaeは、3名の飼主の歯垢から 検出された。P. gulae ATCC 51700は、P. gingivalis ATCC 33277と同様にヒト歯肉線維芽細胞に付着し、BALB/cマウス腹腔マクロファージからサイトカイン産生誘導能が認められた。P. gulae 感染群の歯槽骨吸収量は、P. gulae 非接種群に比べ有意に増加していた。本研究結果から、P. gulaeは、飼いイヌから飼主へ伝播することが確認された。従って、P. gulaeは、ヒト歯周疾患の病因に重要な役割を果たしていることが示唆された。

 

村松 祐也, 九州歯科大学, 6年生

ゲラニルゲラニオールはPPARγの発現を誘導しチアゾリジン系抗糖尿病薬の効果を増強する

糖尿病は進行すると深刻な合併症を生じる。糖尿病有病者の増加が発展途上国で著しく、安全かつ安価な治療や予防法が望まれている。核内受容体PPARγは、細胞の糖質代謝や脂肪細胞分化において重要な役割を果たす。PPARγの活性化は、糖尿病患者のインスリン抵抗性を改善し、血糖値を低下させる。また糖尿病の原因となる肥満などによりPPARγの発現が低下することが知られている。よって、PPARγの発現を誘導したり活性化したりする因子は糖尿病の予防や治療薬の候補として注目を集めている。食物成分由来のゲラニルゲラニオール(GGOH)は脂質や糖質代謝に関連するが、その作用には不明な点が多い。本研究では GGOHがPPARγ発現を誘導し、チアゾリジン系抗糖尿病薬ロシグリタゾンなどのPPARγアゴニストの効果を増強させることを明らかにした。
GGOH処理は前脂肪細胞におけるPPARγの発現を誘導した。PPARγの活性化を脂肪分化能で評価したところ、GGOHはロシグリタゾンのPPARγアゴニスト作用を増強した。しかしながらGGOH単独ではPPARγの転写活性に影響を与えなかった。
PPARγ発現誘導能を有し食物成分由来で安全かつ安価なGGOHは、特にPPARγアゴニストと組み合わせることにより全世界で蔓延する糖尿病の予防や治療薬の候補となり得るかもしれない。

 

山家 怜, 昭和大学歯学部, 5年生

口腔内ディスバイオーシスにおける細菌アミノ酸代謝の影響

口腔内細菌叢の乱れ(口腔内ディスバイオーシス)は、歯肉炎を初めとした様々な口腔内の病態形成に重要と考えられている。歯肉炎は非特異的な細菌の集積(デンタルプラーク)によって起こるとされているが、その詳細な発症メカニズムは明らかになっていない。歯肉に接するデンタルプラークの一部は歯肉上皮細胞に取込まれ、何らかの影響を及ぼすことが予想される。そこで、本研究課題では、プラーク細菌におけるアミノ酸代謝と上皮細胞の相互作用を明確にすることで、このディスバイオーシスについてより良く理解できるのではないかと考え、蛍光顕微鏡を用いた上皮細胞でのオートファジー解析を通じて、プラーク蓄積などを原因とする非特異的歯肉炎の病態形成の解明を目指した。その結果、細菌アミノ酸、特にロイシンなどの分岐鎖アミノ酸の代謝異常は細胞オートファジーに影響を及ぼすことが明らかとなった。口腔内ディスバイオーシスによって誘導される細菌のアミノ酸代謝異常が歯肉炎の発症に関与することが示唆された。

 

山崎 天地, 九州大学歯学部, 4年生

大学生の社会的ネットワークと学業成績の関係

社会的ネットワークは個人の思考や行動に影響を与えるとされ、学業成績にも影響すると考えられる。本研究では、社会的ネットワークとして友人とのつながりを評価し、学業成績と関連するのかを調べた。
歯学部生42人に質問票調査を行い、重要なことや悩みを相談する人を学年内から挙げてもらい、社会的ネットワークを評価した。ネットワーク解析によって、学年内に相談する人がいない者、一方的に相談するか相談を受ける者、お互いに相談する関係にある者に対象者を分けた。また、学業成績は、前年度の全ての履修科目におけるGPの平均点数を用いた。
ネットワークと学業成績の関係を調べた結果、お互いに相談する者は、GPが2.0未満の者が少ない傾向にあり、お互いに相談しあう友人が学年内にいる者は学業成績が良かった。また、相談しない者もGPが2.0未満の者が少なかったが、GPは2極化していた。つまり、相談する人が学年内にいない者の中にも学業成績の良い者がおり、人的環境に影響されず学習能力が高い者がいた。

 

山下 健太郎, 岡山大学歯学部, 4年生

線維芽細胞増殖因子群(FGFs)が歯胚発生に及ぼす影響の解析

イヌやヒトなどの高等動物は、乳歯と永久歯が顎骨内に発生する「二生歯性」を有しており、生涯において歯の生え替わりを可能としている。しかしながら、同一個体内に存在する乳歯と永久歯との発生期間および生存期間は大きく異なっており、それぞれ異なる時間軸が存在する。上皮間葉相互作用を基礎とする歯胚発生の分子基盤は、これまでに多くの基礎研究が進められてきたものの、その時間軸要素を制御する因子は未だ明らかにされていない。
私たちは、同一個体内の乳歯・永久歯の発生の違いを比較することにより、発生時間軸を制御する分子の探索・検証が可能ではないかと考えた。そこで本研究では、イヌ由来の乳歯歯胚ならびに永久歯歯胚における発現遺伝子群の比較検証から、線維芽細胞増殖因子群(FGFs)を見出し、これらの分子がマウス歯胚の発生現象に及ぼす影響を解析した。
FGFsの添加培養によって、FGF2は間葉細胞の硬組織形成の分化促進・間葉組織の骨様組織化誘導、FGF14はエナメル芽細胞の増殖・間葉細胞の分化促進が示唆された。本研究結果により、FGFsはそれぞれ特徴的に歯胚発生に関わる上皮ならびに間葉組織の細胞増殖や分化、形態形成に影響を及ぼすことが示された。

 

吉原 光, 朝日大学歯学部, 4年生

使用済みアルジネート印象材から床用研磨材を創る

アルジネート印象材の成分中には強化材として珪藻土が大量(約70%強)に含まれることが知られている。珪藻土は埋没材の耐火材成分、ガラスとしての陶材や成形修復材料のフィラー成分として歯科領域では頻用されている。本研究では使用済みアルジネート印象材を焼却しアクリルレジンの仕上げ研磨材としてのリサイクル効果を検討した。練和した後にゲル化したアルジネート印象材を焼成し、粉末を入手し研磨材とした。インレーワックス6gに対して抽出粉末が3gとなるように調整し、棒状の研磨材を試作した。比較対象として市販珪藻土、歯科用艶出し研磨材(テルキジン)、珪藻土を含有しない棒状ワックスも準備した。研磨試験片には市販アクリルレジンを用い、円盤状に重合した。研磨したレジン試験片は表面光沢度(Gs60°)、表面粗さ(Ra)の値により評価した。市販レジン床用艶出し研磨材が最も大きな研磨効果を発揮したが、表面粗さに関してはアルジネート印象材由来の試作珪藻土も同等な効果が得られることが判明した。以上のことから、アルジネート印象材を焼却して得られる珪藻土は、アクリルレジンの艶出し研磨材としての適用が可能であることが認められた。

 

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速報:第22回SCRP日本代表選抜大会

2016 年 8 月 24 日 コメントはありません

2016年8月19日(金),歯科医師会館に於いて,平成28年度(第22回)日本歯科医師会/デンツプライシロナ スチューデント・クリニシャン・リサーチ・プログラムが開催されました.

今年度大会は初の29校の歯科大学全校参加となった記念すべき大会となりました.
4名が上位入賞されましたので,お知らせ致します.

優勝/日本代表 - 基礎部門 第1位:神園 藍 さん,鹿児島大学歯学部 4年生 
Syk活性阻害は間葉系幹細胞の骨分化を促進し脂肪分化を抑制する
Syk Inactivation Induces to Promote Osteogenic Differentiation and Suppress Adipogenic Differentiation of Mesenchymal Stem Cells

準優勝 – 臨床部門 第1位:加藤 みなみ さん,広島大学歯学部 6年生
Porphyromonas gingivalisの歯性感染は肝星細胞を活性化し非アルコール性脂肪性肝炎の病態を進行させる
Odontogenic Infection of Porphyromonas gingivalis Exacerbates Pathological Progression of Nonalcoholic Steatohepatitis(NASH) through Activation of Hepatic Stellate Cells

基礎部門 第2位:小村 晃広 さん,大阪歯科大学 4年生
フッ素置換脂肪酸を用いた歯面の化学修飾による着色予防
Prevention of Tooth Stains by Chemical Modification of Tooth Surface with Perfluoro Fatty Acids

臨床部門 第2位:小湊 広美 さん,東京医科歯科大学歯学部 6年生
腫瘍細胞における放射線照射後の細胞周期動態が放射線感受性に及ぼす影響
Effects of Cell Cycle kinetics Following X-irradiation on Radiosensitivity in HeLa Cells Expressing Fluorescent Ubiquitination-Based Cell Cycle Indicator(Fucci)

その他および詳細は,追ってupdate予定です.

取り急ぎ,上位入賞者の情報のみを速報としてお知らせいたします.

【追記】
デンツプライ三金鹿児島大学Ishiyaku Dent Web ヒョーロン・ニュースQuit Dental GateDental Tribune,による記事等はそれぞれのリンク先をご参照ください.

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