第7回大会

2001 年 8 月 22 日 コメントはありません

第7回大会 2001年(平成13年)8月22日 参加校 17校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:金親 あや乃, 日本大学松戸歯学部, 5年生

新規歯垢染色液の開発

現在市販されている歯垢染色液の好ましくない使用経験から、着色した舌・口腔粘膜の簡便かつ迅速な脱色の方法および歯垢に着色しやすく、舌および口 腔粘膜に着色しにくい色素の開発を検討した。まず、試験管内で歯垢染色液にレモン汁やワインビネガーなどの酸性溶液を加えると、晴赤色はうすい緑色に変化 したので、歯垢染色液中の色素は酸により変色することを見出した。これを口腔内に適用したが脱色は不可能であった。また、亜鉛を加えることにより蛋白から 色素を脱離することを試みたが有効な方法とはならなかった。そこで、新規の食用色素を検索したところ、蛋白質に変化を与えない食用赤色色素であるアカビユ 色素を見出した。本色素の安全性が未解決であるのでin vitroでその可能性を検討した。アカビユ色素を8%アルブミン溶液に作用させ、塩化亜鉛で蛋白を沈殿させるとほぼ着色しない蛋白の沈殿を得た。また、 寒天片ならびにゼラチン片を着色すると、寒天はよく染まるがゼラチンの染色性は低かった。歯垢を染色すると、強く赤く染色された。これらのことから、アカ ビユ色素が歯垢染色液の色素として有望で応用が期待できることがわかった。

準優勝:武藤 陽子, 日本大学歯学部, 5年生

小型X線CTを応用した1歩進んだ根管治療法

根管治療は歯科医にとって最も難しい治療の一つである。効率的な治療を行うためには、信頼性の高い根管に関する情報が必要である。しかしながら、デ ンタル写真は2次元方向の画像であり、正確な情報を得ることは難しい場合もある。近年小型Ⅹ線CTが開発され、3次元画像を得ることが可能となった。そこ で本研究では、正確な根管形態の情報を得るのに3次元画像が有効であるか検討した。第1大臼歯では時おり近心頬側根管口と近心舌側根管口の間に、第4根管 口が見られることがある。しかしながら、この第4根管に関す情報をデンタル写真から得ることは困難である。このような症例では、小型Ⅹ線CTでの水平断画 像による正確な情報を得るのに有効であった。水平断画像では正確な根管口数だけでなく、それがどこに位置するかも観察することが可能となった。その結果、 歯科医は短時間で第4根管を処置することができた。小型Ⅹ線CTでの画像を使うことによって、より信頼度の高い椴管口明示を行うことができ、将来的に根管 治療における小型Ⅹ線CTの応用が期待される。

第3位:山本 祐子, 神奈川歯科大学, 5年生

超音波ダイアモンドチップを用いた支台歯形成法の臨床応用

支台歯形成は、日常の歯科医療行弟において重要な作業の一つである。今回は支台歯のフイニシングラインの切削手法に注目し、新たに開発した超音波ダ イヤモンドチップの有効性について検討した。回転型切削用ダイヤモンドバーのみでフイニッシングライン切削したもの(対照群)と回転型切削用ダイヤモンド バーにより支台歯形成を行った後にフイニッシングライン部分に対して超音波ダイヤモンドチップによる処理を加えたもの(超音波群)、それぞれのフイニッシ ングライン部分について走査型電子蹄徴鏡(SEM)を用いてその表面構造の比較検討した。支台歯フイニッシングライン部分の表面構造を比較検討した結果、 対照群の表面は、粗造で回転による縞状構造が一面に観察されたのに対して、超音波群では平滑で繊細な凹凸を持つ構造が観察された。また、振動による切削は 歯肉上皮の保護、炎症罹患の防止など歯周組織への侵襲を最小限にすることができる可能性も示唆された。支台歯形成におけるフイニッシングラインは、回転型 切削用ダイヤモンドバー単独仕上げより、超音波ダイヤモンドチップの併用の方がより滑沢なフイニッシングラインを獲得できた。したがって、このインスツル メントの臨床応用の可能性が期待される。

落合 恭子, 広島大学歯学部, 6年生

ELISA法における特異性抗原としてのActinobacillus Actinomycetemcomitansの外膜タンパクについての評価

歯周病は感染症と考えられており、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Actinobacillus Actinomycetemcomitans (Aa)等が病原因菌として同定されている。こうした病原因菌の検査法として、ELISA法が広く用いられているが、現在抗原として使用している菌の破砕 画分には様々なタンパク、脂質、多糖、リポ多糖などが含まれるため、病原因菌を特定する上で正確であるとはいえない。そこでAaについて、歯周病原因菌に 特異的な抗原物質としてグラム陰性菌の外膜に存在する外膜タンパク(OMPs)について検討を行った。その結果、菌の破砕画分と外膜タンパク(Omp)画 分の歯周病患者血清との反応性を比較すると、両者の患者血清との反応には相関性が為られた。Ompはその大きさにより、100kDa、64kDa、 34kDa、29kDa、18kDa、16kDaが存在し、その中でもとりわけ29kDaが歯周病患者血清と強く反応した。以上の結果より、歯周病患者に おけるELISA法において、Ompを抗原として用いることが有効であると考えられる。

榎本 佳代子, 大阪大学歯学部, 5年生

一般歯科診療所来院患者におけるメチシリン耐性ブドウ球菌の分布とその性状

オキサシリン(メチシリン)耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、難治性院内感染の病原菌として各国で注目を集めている。MRSAはメチシリン導入後 すぐに、1961年に最初にイギリスで報告され、70年代半ばまでには各国で見られるようになった。現在では、MRSAの検出頻度はスペイン、フランス、 イタリアでは約30%にまで増加しており、日本では10%程度とされている。さらに、抗生剤感受性の低下したコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の検出 率の増加も、深刻な問題となっている。しかしながら、一般歯科診療所を訪れる患者の口腔内におけるMRSAやメチシリン耐性を持つCNSの分布については いまだ明らかにされていない。本研究では、一般歯科診療所に来院した450名の患者について、mutiplexPCR法を用いてMRSA及びMRCNSの 分布を調べた。

久保 浩太郎, 東京歯科大学, 6年生

エナメル質の直接脱灰とソフトドリンク

エナメル質の脱灰は、頻繁なソフトドリンクの飲用によって引き起こされる。とくに問題なのは、それらを哺乳ビンで飲ませる習慣がついてしまったこと で、非常に深刻な酌蝕を引き起こす。本研究はこの習慣が、なぜ歯にとって悪いのかを示す保健指導や健康教育のためのデータを得ることを目的としている。ヒ トエナメル片の一方はそのまま、他方はATP塗布後、流水下での洗浄後、被験ソフトドリンクに2時間静止した。エナメル質表面の状態をSEMにて400 倍画像で観察した。またISFETpHセンサーで、飲料後の下顎第一大臼歯頬側歯面のpHを連続的に30分間測定した。 pHの値が最も低かったコーラが最も高度な脱灰像を示したが、飲用後の下顎第一大臼歯頬側歯面pHの回復は速かった。一方、pH値がコーラよりも高かった 他の飲料ではpHの回復は遅かった。pHの回復の速度は唾液の緩衝能によるので、飲料水中に含まれている酸量の影響を受けていると考えられる。就寝中は唾 液分泌量が減少するので、唾液の緩衝能を期待できない。そのため、就寝前に酸性の飲料水を飲まないことが重要でありさらにフッ化物の毎日の応用はエナメル 質の脱灰の予防に有効である。

櫻場 一郎, 北海道大学歯学部, 6年生

歯牙透明標本のレジン包理法

根管に墨汁を注入した透明標本は、根管形態の観察に最も有効である。しかし、透明剤であるサリチル酸メチルやフェノールは刺激臭があり人体に有害で あるため、標本は密栓したガラス瓶の中で透明剤に浸漬した状態で観察しなければならない。もし透明標本をレジン包埋できたならば、標本を素手で取り扱いな がら観察できるのでは、と考え本研究を行った。材料としてヒト抜去永久歯75本を用いた。髄腔を穿孔し30%水酸化カリウムで歯髄と付着組織を除去した。 製図用墨汁を根管に注入した後、脱灰、脱水した。標本をサリチル酸メチルで透明にし、ポリエステルレジンを浸透させて紫外線重合した。以上の術式により、 透明性を失わせることなく透明標本をレジン包埋することができ、標本を素手で扱うことが可能となった。墨汁で染まった根管は従来の透明標本におけるものと 同程度にはっきりと観察できた。レジン包埋した透明標本は歯科界で広く応用できると考えられる。

鈴木 史香, 明海大学歯学部, 4年生

マクロファージ活性化剤によるNO産生とアルギニンの消費に及ぼす効果

マクロファージは、幅広い生物活性を示し、リボ多糖(LPS)などで活性化されると一酸化窒素(NO)や腫瘍壊死因子(TNF)等を放出する。NO はアルギニンから、NO合成酵素により、NG-hydroxyl-L-arginineを経由して、シトルリンとともに生成される。NOは、不安定なため 定量が難しい。今回、LPSによるマウスマクロファージ様細胞Raw264.7の活性化に伴い変動する新しいマーカーを探索する目的で、アミノ酸の消費夜 び産生と、細胞内濃度について検討した。LPS添加により、Raw264.7細胞の増殖速度が若干低下し、培養液中へのNOとTNFの産生が著しく増加し た。この時、アルギニンを除く、殆どのアミノ酸の消費が減少した。グルタミンあるいはロイシンの消費量に対するアルギニンの消費量は、LPS添加により 2~5倍まで上昇し、シトルリンの生成量も4倍以上に上昇した。また、アスパラギンの新たな蓄積が観察された。マクロフアージの活性化に伴うアスパラギン の産生の増大についての報告はなく、マクロファージ系細胞におけるアスパラギン合成酵素の発現等を検討する予定である。

高瀬 一馬, 徳島大学歯学部, 3年生

口腔内写真を用いた審美性に関するアンケート調査

口腔内の審美性に関するアンケート調査を実施し、歯学部生、医学部生、薬学部・総合科学部生、高校生が口腔内の審美性についてどのような認識をして いるかを明らかにした。その結果、叢生および上顎前突においては、各群間で回答に大きな差は認められなかったが、オーバーバイトに関しては、歯学部生が切 端咬合や開咬を厳しく見極めていることがわかった。下顎前突、歯間の空隙、正中のずれ、歯肉の見え方に関しては、歯学部生は、医学部生、薬学部・総合科学 部生、高校生と比較して、いずれの項目に関しても回答のばらつきが少なく、他に比べて選択範囲が収束する傾向が見られた。記述式で寄せられた回答では、医 学部において歯肉や軟組織に関する記述が多く見られ、学部の特色を反映しているものと思われた。男女差については、女性の方が小さな歯列不正に対しても注 意深く認識する傾向がみられた。本研究により、歯学部生の口腔内審美性に対する意識が、他学部学生や高校生とは異なる傾向があることが明らかとなった。

滝永 哲, 岡山大学歯学部, 2年生

骨形成因子Cbfa-1のノックアウトマウスの頭蓋顔面と歯胚の組織学的研究

Cbfalは小守先生等により急性骨髄性白血病の染色体異常により発見され、骨牙細胞の分化に必須の転写因子であるといわれている。Cbfal欠禎 マウスでは、膜性骨化と軟骨内骨化のいずれも認められない。また歯胚の発育不全が生じることも知られているがその詳細は不明である。ヘテロ変異体ではヒト の鎖骨頭蓋異形成症と類似した表現型を示すことが明らかになっている。そこで本研究では、小守先生によりノックアウトマウスの提供を受け、Cbfa1欠損 マウス、ヘテロ変異体における頭蓋顔面と歯胚の発育異常を組織学的に検索した。頭蓋顔面の骨形成において、Cbfa1欠損マウスでは骨の欠損、ヘテロ変異 体では骨形成の遅延が認められた。さらに、Cbfa1欠損マウスでは、軟骨様組織による膜性骨の置換が認められた。Cbfa1欠椙マウスでは、骨の欠損以 外に歯胚、唾液腺、眼険において発育不全が認められたことより、Cbfa1は組織の形態形成や細胞の機能分化にも影響を与えることが示された。

竹田 まゆ, 日本歯科大学新潟歯学部, 5年生

顎間固定が生体に及ぼす影響

学生相互で簡易顎間固定を行い、顎間固定が生体に及ぼす影響についてノルエビネフリン(Nepi)、エピネフリン(Epi)の測定により、検討を 行った。本研究の主旨と内容を十分に説明し同意を得た、ボランティア15名に簡易顎間固定を行い、顎間固定前、固定直後、15分後、30分後、1時間後、 2時間後、固定除去直後、固定除去30分後に血漿中のNepi、Epi、最高血圧(SBP)、最低血圧(DBP)、脈拍数(PR)、経皮的酸素飽和度 (SpO2)の測定を行った。Epiの血漿濃度は顎間固定直後に有意な上昇を示したのみでその後は固定前に対し変化が認められなかったのに比べ、Nepi の血漿濃度は顎間固定直後より除去直後まで有意に上昇した。この結果は顎間固定によって生体に加えられたストレスが、主に肉体的要因であることを示してい る。一方SBP、DBP、PR、SpO2に有意な変化は認めなかった。顎間固定は呼吸、循環動態に変化を与えないものの、明らかに生体に加えられたストレ スである。今後は患者が顎間固定によって受ける肉体的ストレスについても、積極的な対応が必要であると本研究結果は示唆している。

谷野 文宣, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

姿勢による咬合接触状態の変化―座位と仰臥位での咬合接触状態の変化について―

現在、我々は間接法によって歯冠補綴物を製作しているが、補綴物を口腔内に試適した時に咬頭嵌合位より200~300μm高くなることが知られてい る。それ故に歯冠補綴物を支台歯に合着する際に、咬合調整を行わなくてはならない。臨床では咬頭嵌合位が安定している患者に対しては座位だけでなく仰臥位 で咬合調整を行うことがある。本研究は、座位と仰臥位との咬合接触状態を比較し、仰臥位での咬合調整の妥当性を検討するものである。
被験者は顎口腔系に特に異常を認めない成人9名とし、座位および仰臥位における軽度噛みしめ時の咬合接触をブラックシリコーンを用いて採得した。採得した 咬合接触記録を、透過減衰法を用いて、犬歯、第一、第二小臼歯および第一、第二大臼歯の30μm以下の咬合近接域を測定した。分散分析の結果から第一、第 二大臼歯においては座位と仰臥位との間の咬合接触面積の有意な差が認められた(それぞれp<0.05、P<0.01)。従って、両姿勢時の軽度噛みしめ時 における下顎位は異なる可能性が考えられる。故に我々は咬頭嵌合位が安定している患者に対して歯冠補綴物の咬合調整をする際には座位で行うことが望ましい と考える。

保坂 瑞代, 昭和大学歯学部, 5年生

グロー放電プラズマ処理によりチタンの生体適合性は向上する

チタンは表面処理によってその生体適合性を修飾されることが知られている。このため現在市販されているインプラントシステムはそのほとんどが特徴的 な表面構造を有している。グロー放電プラズマ(GDP)処理は、真空容器内で発生したプラズマにより材料のマクロの表面構造を変化させること無く、ぬれ性 を劇的に改善する手法であり、すでに工業界では広く用いられている。本研究では、GDP処理をインプラントの表面処理として応用すべく、GDP処理したチ タン板に対する骨芽細胞様細胞の接着性とその接着機構について検討した。その結果、本処理により血清中に存在する接着性タンパクの付着が向上し、チタンの 細胞接着性が改善されることが判明した。またGDPで処理したチタン板に接着した細胞は、増殖・分化のマーカであるストレスファイバーを強く発現してい た。本研究からGDP処理がチタン製インプラントの表面処理として有効であることが確認された。

宮崎 康雄, 愛知学院大学歯学部, 5年生

硬化時に変色する石膏の開発

石膏模型作製時の石膏硬化の判定には、おおよその硬化時間を参考にして練和からの経過時間の計測や、硬化時の熱変化を触知する方法などが臨床的に用 いられる。しかしながら、実際の石膏使用時には混水比が必ずしも一定でないこと、あるいは環填温度が常に変化していることから、硬化時を確定する事は難し い。また、接触による温度感覚は、個人差が大きく、硬化中に印象から模型を撤去してしまい、細部の破折を生じさせてしまうことや、変形させてしまうような ことも少なくない。そこで、石膏の硬化を的確に判断するため、普通石膏に感温顔料を混入することにより、硬化時の熱変化を視覚化し、硬化を客観的、かつ直 感的にも認知できる石膏を試作した。その結果、試作石膏は温度変化と共に色彩が変化することが確認された。また、石膏の硬化判定は石膏の色が桃色から白色 に変化する事によって判断された。物性試験からは、試作石膏の歯科理工学的性質は市販の石膏と同程度であることが確認され、臨床応用の可能性が示唆され た。

室井 悠里, 大阪歯科大学, 5年生

上級生は歯科材料の取り扱いが上手か

私たち歯学生にとって、歯科材料を取り扱う技術を習得することは必須である。はたして、本当に大学の実習で技術を習得できているのだろうか。私は歯 科技術の習得を反映すると考えられる操作として、印象採得、石膏注入、セメント練和に注目し、この研究で1年から5年までの各学年の歯学生に操作しても らった。そしてその習熟度を数値化し、データを統計学的に処理し、比較検討した。その結果、印象採得と石膏注入に関しては、5年生と1年、2年生との間に 有意差が認められた。また、2年生と3、4、5年生との間にも有意差が認められた。一方、セメント練和において、圧縮強さでは学年間に有意差は認められな かった。以上、調べた3操作について、上級生ほど習熟度が高い傾向にあることがわかった。しかし、取り扱い操作によっては学年差が認められないこともあ り、実習時期、実習回数、勉学意欲、調査時期や測定方法などの因子も関与していることが考えられた。

山口 聡子, 九州大学歯学部, 5年生

不正咬合と表情の関係について

私は現在歯科矯正治療を受けている立場から、治療前後で硬組織からでは分からない顔の全体的印象がどのように変わるかに興味を抱き、本研究を行なっ た。正常咬合である学生に、上顎前歯前突、下顎前歯前突、上下顎前歯前突になるような義歯を装着し、人工的に不正咬合をつくった。そして正常時と各々の不 正咬合時(義歯装着時)との笑顔における動きと不正咬合の種類によるスマイルの特徴を比較した。口唇の動きは、正常時で下口唇、上顎前歯前突では上口唇、 下顎前歯前突では口角部が初めに動いた。上顎前歯前突ではスマイル時に上口唇と口角部側方領域、下等前歯前突では下口唇と口角部側方領域で正常時との差が みられた。上下顎前突では上下口唇に限局して差が見られた。以上のことから各々の不正咬合は、口唇周辺の筋肉の動きに影響を与えスマイルに特徴的な変形を もたらしており、治療による表情の変化について前もって知ることができれば、患者の好都合になると考えられた。

吉田 尚史, 鶴見大学歯学部, 4年生

根管治療におけるイオン導入法のチュアーサイドでの基礎的評価システムの開発

近年、感染根管治療の成否は根管内無菌化が完全かどうかに左右されることが再認識されているが、実際の無菌化の確認は徹底されておらず、各種薬剤の 客観的評価法も確立されていない。最近、広く根管貼薬剤に使われてきたホルムクレゾール(FC)は、難治性感染根管の一病原体であるCandida albicansに対し不完全で、これに対し銀系薬剤のイオン導入法によって完全に除菌できたという報告がある。そこで、実際に難治性感染根管からしばし ば分離される好気性、嫌気性菌、真菌の7菌種を用い、イオン導入の効果を客観的に評価するシステムの開発を試みた。一定量の菌を寒天培地に混釈し、アンモ ニア銀、サホライド、ヨードヨード亜鉛を用い、各10mA分通電した。培養後、形成された阻止円の直径で効果を判定した結果、通電のみでの除菌効果は低 く、併用する薬剤によって各菌の感受性が異なることが明らかとなった。特にサホライドは効果が高く、アンモニア銀、ヨードヨード亜鉛は菌によっては効果が 低いが、嫌気性菌にはどちらもかなり有効であった。したがって、イオン導入を適切に用いることで完全無菌化が期待でき、このシステムをチェアーサイドで用 いることで、最適な条件決定が可能となると思われた。

第7回大会 2001年(平成13年)8月22日 参加校 17校

タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:金親 あや乃, 日本大学松戸歯学部, 5年生

新規歯垢染色液の開発

現在市販されている歯垢染色液の好ましくない使用経験から、着色した舌・口腔粘膜の簡便かつ迅速な脱色の方法および歯垢に着色しやすく、舌および 口腔粘膜に着色しにくい色素の開発を検討した。まず、試験管内で歯垢染色液にレモン汁やワインビネガーなどの酸性溶液を加えると、晴赤色はうすい緑色に変 化したので、歯垢染色液中の色素は酸により変色することを見出した。これを口腔内に適用したが脱色は不可能であった。また、亜鉛を加えることにより蛋白か ら色素を脱離することを試みたが有効な方法とはならなかった。そこで、新規の食用色素を検索したところ、蛋白質に変化を与えない食用赤色色素であるアカビ ユ色素を見出した。本色素の安全性が未解決であるのでin vitroでその可能性を検討した。アカビユ色素を8%アルブミン溶液に作用させ、塩化亜鉛で蛋白を沈殿させるとほぼ着色しない蛋白の沈殿を得た。また、 寒天片ならびにゼラチン片を着色すると、寒天はよく染まるがゼラチンの染色性は低かった。歯垢を染色すると、強く赤く染色された。これらのことから、アカ ビユ色素が歯垢染色液の色素として有望で応用が期待できることがわかった。

準優勝:武藤 陽子, 日本大学歯学部, 5年生

小型X線CTを応用した1歩進んだ根管治療法

根管治療は歯科医にとって最も難しい治療の一つである。効率的な治療を行うためには、信頼性の高い根管に関する情報が必要である。しかしながら、デ ンタル 写真は2次元方向の画像であり、正確な情報を得ることは難しい場合もある。近年小型Ⅹ線CTが開発され、3次元画像を得ることが可能となった。そこで本研 究では、正確な根管形態の情報を得るのに3次元画像が有効であるか検討した。第1大臼歯では時おり近心頬側根管口と近心舌側根管口の間に、第4根管口が見 られることがある。しかしながら、この第4根管に関す情報をデンタル写真から得ることは困難である。このような症例では、小型Ⅹ線CTでの水平断画像によ る正確な情報を得るのに有効であった。水平断画像では正確な根管口数だけでなく、それがどこに位置するかも観察することが可能となった。その結果、歯科医 は短時間で第4根管を処置することができた。小型Ⅹ線CTでの画像を使うことによって、より信頼度の高い椴管口明示を行うことができ、将来的に根管治療に おける小型Ⅹ線CTの応用が期待される。

第3位:山本 祐子, 神奈川歯科大学, 5年生

超音波ダイアモンドチップを用いた支台歯形成法の臨床応用

支台歯形成は、日常の歯科医療行弟において重要な作業の一つである。今回は支台歯のフイニシングラインの切削手法に注目し、新たに開発した超音波ダ イヤモ ンドチップの有効性について検討した。回転型切削用ダイヤモンドバーのみでフイニッシングライン切削したもの(対照群)と回転型切削用ダイヤモンドバーに より支台歯形成を行った後にフイニッシングライン部分に対して超音波ダイヤモンドチップによる処理を加えたもの(超音波群)、それぞれのフイニッシングラ イン部分について走査型電子蹄徴鏡(SEM)を用いてその表面構造の比較検討した。支台歯フイニッシングライン部分の表面構造を比較検討した結果、対照群 の表面は、粗造で回転による縞状構造が一面に観察されたのに対して、超音波群では平滑で繊細な凹凸を持つ構造が観察された。また、振動による切削は歯肉上 皮の保護、炎症罹患の防止など歯周組織への侵襲を最小限にすることができる可能性も示唆された。支台歯形成におけるフイニッシングラインは、回転型切削用 ダイヤモンドバー単独仕上げより、超音波ダイヤモンドチップの併用の方がより滑沢なフイニッシングラインを獲得できた。したがって、このインスツルメント の臨床応用の可能性が期待される。

落合 恭子, 広島大学歯学部, 6年生

ELISA法における特異性抗原としてのActinobacillus Actinomycetemcomitansの外膜タンパクについての評価

歯周病は感染症と考えられており、Porphyromonas gingivalis、Prevotella intermedia、Actinobacillus Actinomycetemcomitans (Aa)等が病原因菌として同定されている。こうした病原因菌の検査法として、ELISA法が広く用いられているが、現在抗原として使用している菌の破砕 画分には様々なタンパク、脂質、多糖、リポ多糖などが含まれるため、病原因菌を特定する上で正確であるとはいえない。そこでAaについて、歯周病原因菌に 特異的な抗原物質としてグラム陰性菌の外膜に存在する外膜タンパク(OMPs)について検討を行った。その結果、菌の破砕画分と外膜タンパク(Omp)画 分の歯周病患者血清との反応性を比較すると、両者の患者血清との反応には相関性が為られた。Ompはその大きさにより、100kDa、64kDa、 34kDa、29kDa、18kDa、16kDaが存在し、その中でもとりわけ29kDaが歯周病患者血清と強く反応した。以上の結果より、歯周病患者に おけるELISA法において、Ompを抗原として用いることが有効であると考えられる。

榎本 佳代子, 大阪大学歯学部, 5年生

一般歯科診療所来院患者におけるメチシリン耐性ブドウ球菌の分布とその性状

オキサシリン(メチシリン)耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、難治性院内感染の病原菌として各国で注目を集めている。MRSAはメチシリン導入後 すぐ に、1961年に最初にイギリスで報告され、70年代半ばまでには各国で見られるようになった。現在では、MRSAの検出頻度はスペイン、フランス、イタ リアでは約30%にまで増加しており、日本では10%程度とされている。さらに、抗生剤感受性の低下したコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)の検出率の 増加も、深刻な問題となっている。しかしながら、一般歯科診療所を訪れる患者の口腔内におけるMRSAやメチシリン耐性を持つCNSの分布についてはいま だ明らかにされていない。本研究では、一般歯科診療所に来院した450名の患者について、mutiplexPCR法を用いてMRSA及びMRCNSの分布 を調べた。

久保 浩太郎, 東京歯科大学, 6年生

エナメル質の直接脱灰とソフトドリンク

エナメル質の脱灰は、頻繁なソフトドリンクの飲用によって引き起こされる。とくに問題なのは、それらを哺乳ビンで飲ませる習慣がついてしまったこと で、非 常に深刻な酌蝕を引き起こす。本研究はこの習慣が、なぜ歯にとって悪いのかを示す保健指導や健康教育のためのデータを得ることを目的としている。ヒトエナ メル片の一方はそのまま、他方はATP塗布後、流水下での洗浄後、被験ソフトドリンクに2時間静止した。エナメル質表面の状態をSEMにて400 倍画像で観察した。またISFETpHセンサーで、飲料後の下顎第一大臼歯頬側歯面のpHを連続的に30分間測定した。 pHの値が最も低かったコーラが最も高度な脱灰像を示したが、飲用後の下顎第一大臼歯頬側歯面pHの回復は速かった。一方、pH値がコーラよりも高かった 他の飲料ではpHの回復は遅かった。pHの回復の速度は唾液の緩衝能によるので、飲料水中に含まれている酸量の影響を受けていると考えられる。就寝中は唾 液分泌量が減少するので、唾液の緩衝能を期待できない。そのため、就寝前に酸性の飲料水を飲まないことが重要でありさらにフッ化物の毎日の応用はエナメル 質の脱灰の予防に有効である。

櫻場 一郎, 北海道大学歯学部, 6年生

歯牙透明標本のレジン包理法

根管に墨汁を注入した透明標本は、根管形態の観察に最も有効である。しかし、透明剤であるサリチル酸メチルやフェノールは刺激臭があり人体に有害で あるた め、標本は密栓したガラス瓶の中で透明剤に浸漬した状態で観察しなければならない。もし透明標本をレジン包埋できたならば、標本を素手で取り扱いながら観 察できるのでは、と考え本研究を行った。材料としてヒト抜去永久歯75本を用いた。髄腔を穿孔し30%水酸化カリウムで歯髄と付着組織を除去した。製図用 墨汁を根管に注入した後、脱灰、脱水した。標本をサリチル酸メチルで透明にし、ポリエステルレジンを浸透させて紫外線重合した。以上の術式により、透明性 を失わせることなく透明標本をレジン包埋することができ、標本を素手で扱うことが可能となった。墨汁で染まった根管は従来の透明標本におけるものと同程度 にはっきりと観察できた。レジン包埋した透明標本は歯科界で広く応用できると考えられる。

鈴木 史香, 明海大学歯学部, 4年生

マクロファージ活性化剤によるNO産生とアルギニンの消費に及ぼす効果

マクロファージは、幅広い生物活性を示し、リボ多糖(LPS)などで活性化されると一酸化窒素(NO)や腫瘍壊死因子(TNF)等を放出する。NO はアル ギニンから、NO合成酵素により、NG-hydroxyl-L-arginineを経由して、シトルリンとともに生成される。NOは、不安定なため定量が 難しい。今回、LPSによるマウスマクロファージ様細胞Raw264.7の活性化に伴い変動する新しいマーカーを探索する目的で、アミノ酸の消費夜び産生 と、細胞内濃度について検討した。LPS添加により、Raw264.7細胞の増殖速度が若干低下し、培養液中へのNOとTNFの産生が著しく増加した。こ の時、アルギニンを除く、殆どのアミノ酸の消費が減少した。グルタミンあるいはロイシンの消費量に対するアルギニンの消費量は、LPS添加により2~5倍 まで上昇し、シトルリンの生成量も4倍以上に上昇した。また、アスパラギンの新たな蓄積が観察された。マクロフアージの活性化に伴うアスパラギンの産生の 増大についての報告はなく、マクロファージ系細胞におけるアスパラギン合成酵素の発現等を検討する予定である。

高瀬 一馬, 徳島大学歯学部, 3年生

口腔内写真を用いた審美性に関するアンケート調査

口腔内の審美性に関するアンケート調査を実施し、歯学部生、医学部生、薬学部・総合科学部生、高校生が口腔内の審美性についてどのような認識をして いるか を明らかにした。その結果、叢生および上顎前突においては、各群間で回答に大きな差は認められなかったが、オーバーバイトに関しては、歯学部生が切端咬合 や開咬を厳しく見極めていることがわかった。下顎前突、歯間の空隙、正中のずれ、歯肉の見え方に関しては、歯学部生は、医学部生、薬学部・総合科学部生、 高校生と比較して、いずれの項目に関しても回答のばらつきが少なく、他に比べて選択範囲が収束する傾向が見られた。記述式で寄せられた回答では、医学部に おいて歯肉や軟組織に関する記述が多く見られ、学部の特色を反映しているものと思われた。男女差については、女性の方が小さな歯列不正に対しても注意深く 認識する傾向がみられた。本研究により、歯学部生の口腔内審美性に対する意識が、他学部学生や高校生とは異なる傾向があることが明らかとなった。

滝永 哲, 岡山大学歯学部, 2年生

骨形成因子Cbfa-1のノックアウトマウスの頭蓋顔面と歯胚の組織学的研究

Cbfalは小守先生等により急性骨髄性白血病の染色体異常により発見され、骨牙細胞の分化に必須の転写因子であるといわれている。Cbfal欠禎 マウス では、膜性骨化と軟骨内骨化のいずれも認められない。また歯胚の発育不全が生じることも知られているがその詳細は不明である。ヘテロ変異体ではヒトの鎖骨 頭蓋異形成症と類似した表現型を示すことが明らかになっている。そこで本研究では、小守先生によりノックアウトマウスの提供を受け、Cbfa1欠損マウ ス、ヘテロ変異体における頭蓋顔面と歯胚の発育異常を組織学的に検索した。頭蓋顔面の骨形成において、Cbfa1欠損マウスでは骨の欠損、ヘテロ変異体で は骨形成の遅延が認められた。さらに、Cbfa1欠損マウスでは、軟骨様組織による膜性骨の置換が認められた。Cbfa1欠椙マウスでは、骨の欠損以外に 歯胚、唾液腺、眼険において発育不全が認められたことより、Cbfa1は組織の形態形成や細胞の機能分化にも影響を与えることが示された。

竹田 まゆ, 日本歯科大学新潟歯学部, 5年生

顎間固定が生体に及ぼす影響

学生相互で簡易顎間固定を行い、顎間固定が生体に及ぼす影響についてノルエビネフリン(Nepi)、エピネフリン(Epi)の測定により、検討を 行った。 本研究の主旨と内容を十分に説明し同意を得た、ボランティア15名に簡易顎間固定を行い、顎間固定前、固定直後、15分後、30分後、1時間後、2時間 後、固定除去直後、固定除去30分後に血漿中のNepi、Epi、最高血圧(SBP)、最低血圧(DBP)、脈拍数(PR)、経皮的酸素飽和度 (SpO2)の測定を行った。Epiの血漿濃度は顎間固定直後に有意な上昇を示したのみでその後は固定前に対し変化が認められなかったのに比べ、Nepi の血漿濃度は顎間固定直後より除去直後まで有意に上昇した。この結果は顎間固定によって生体に加えられたストレスが、主に肉体的要因であることを示してい る。一方SBP、DBP、PR、SpO2に有意な変化は認めなかった。顎間固定は呼吸、循環動態に変化を与えないものの、明らかに生体に加えられたストレ スである。今後は患者が顎間固定によって受ける肉体的ストレスについても、積極的な対応が必要であると本研究結果は示唆している。

谷野 文宣, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

姿勢による咬合接触状態の変化―座位と仰臥位での咬合接触状態の変化について―

現在、我々は間接法によって歯冠補綴物を製作しているが、補綴物を口腔内に試適した時に咬頭嵌合位より200~300μm高くなることが知られて いる。それ故に歯冠補綴物を支台歯に合着する際に、咬合調整を行わなくてはならない。臨床では咬頭嵌合位が安定している患者に対しては座位だけでなく仰臥 位で咬合調整を行うことがある。本研究は、座位と仰臥位との咬合接触状態を比較し、仰臥位での咬合調整の妥当性を検討するものである。
被験者は顎口腔系に特に異常を認めない成人9名とし、座位および仰臥位における軽度噛みしめ時の咬合接触をブラックシリコーンを用いて採得した。採得した 咬合接触記録を、透過減衰法を用いて、犬歯、第一、第二小臼歯および第一、第二大臼歯の30μm以下の咬合近接域を測定した。分散分析の結果から第一、第 二大臼歯においては座位と仰臥位との間の咬合接触面積の有意な差が認められた(それぞれp<0.05、P<0.01)。従って、両姿勢時の軽度噛みしめ時 における下顎位は異なる可能性が考えられる。故に我々は咬頭嵌合位が安定している患者に対して歯冠補綴物の咬合調整をする際には座位で行うことが望ましい と考える。

保坂 瑞代, 昭和大学歯学部, 5年生

グロー放電プラズマ処理によりチタンの生体適合性は向上する

チタンは表面処理によってその生体適合性を修飾されることが知られている。このため現在市販されているインプラントシステムはそのほとんどが特徴的 な表面 構造を有している。グロー放電プラズマ(GDP)処理は、真空容器内で発生したプラズマにより材料のマクロの表面構造を変化させること無く、ぬれ性を劇的 に改善する手法であり、すでに工業界では広く用いられている。本研究では、GDP処理をインプラントの表面処理として応用すべく、GDP処理したチタン板 に対する骨芽細胞様細胞の接着性とその接着機構について検討した。その結果、本処理により血清中に存在する接着性タンパクの付着が向上し、チタンの細胞接 着性が改善されることが判明した。またGDPで処理したチタン板に接着した細胞は、増殖・分化のマーカであるストレスファイバーを強く発現していた。本研 究からGDP処理がチタン製インプラントの表面処理として有効であることが確認された。

宮崎 康雄, 愛知学院大学歯学部, 5年生

硬化時に変色する石膏の開発

石膏模型作製時の石膏硬化の判定には、おおよその硬化時間を参考にして練和からの経過時間の計測や、硬化時の熱変化を触知する方法などが臨床的に用 いられ る。しかしながら、実際の石膏使用時には混水比が必ずしも一定でないこと、あるいは環填温度が常に変化していることから、硬化時を確定する事は難しい。ま た、接触による温度感覚は、個人差が大きく、硬化中に印象から模型を撤去してしまい、細部の破折を生じさせてしまうことや、変形させてしまうようなことも 少なくない。そこで、石膏の硬化を的確に判断するため、普通石膏に感温顔料を混入することにより、硬化時の熱変化を視覚化し、硬化を客観的、かつ直感的に も認知できる石膏を試作した。その結果、試作石膏は温度変化と共に色彩が変化することが確認された。また、石膏の硬化判定は石膏の色が桃色から白色に変化 する事によって判断された。物性試験からは、試作石膏の歯科理工学的性質は市販の石膏と同程度であることが確認され、臨床応用の可能性が示唆された。

室井 悠里, 大阪歯科大学, 5年生

上級生は歯科材料の取り扱いが上手か

私たち歯学生にとって、歯科材料を取り扱う技術を習得することは必須である。はたして、本当に大学の実習で技術を習得できているのだろうか。私は歯 科技術 の習得を反映すると考えられる操作として、印象採得、石膏注入、セメント練和に注目し、この研究で1年から5年までの各学年の歯学生に操作してもらった。 そしてその習熟度を数値化し、データを統計学的に処理し、比較検討した。その結果、印象採得と石膏注入に関しては、5年生と1年、2年生との間に有意差が 認められた。また、2年生と3、4、5年生との間にも有意差が認められた。一方、セメント練和において、圧縮強さでは学年間に有意差は認められなかった。 以上、調べた3操作について、上級生ほど習熟度が高い傾向にあることがわかった。しかし、取り扱い操作によっては学年差が認められないこともあり、実習時 期、実習回数、勉学意欲、調査時期や測定方法などの因子も関与していることが考えられた。

山口 聡子, 九州大学歯学部, 5年生

不正咬合と表情の関係について

私は現在歯科矯正治療を受けている立場から、治療前後で硬組織からでは分からない顔の全体的印象がどのように変わるかに興味を抱き、本研究を行なっ た。正 常咬合である学生に、上顎前歯前突、下顎前歯前突、上下顎前歯前突になるような義歯を装着し、人工的に不正咬合をつくった。そして正常時と各々の不正咬合 時(義歯装着時)との笑顔における動きと不正咬合の種類によるスマイルの特徴を比較した。口唇の動きは、正常時で下口唇、上顎前歯前突では上口唇、下顎前 歯前突では口角部が初めに動いた。上顎前歯前突ではスマイル時に上口唇と口角部側方領域、下等前歯前突では下口唇と口角部側方領域で正常時との差がみられ た。上下顎前突では上下口唇に限局して差が見られた。以上のことから各々の不正咬合は、口唇周辺の筋肉の動きに影響を与えスマイルに特徴的な変形をもたら しており、治療による表情の変化について前もって知ることができれば、患者の好都合になると考えられた。

吉田 尚史, 鶴見大学歯学部, 4年生

根管治療におけるイオン導入法のチュアーサイドでの基礎的評価システムの開発

近年、感染根管治療の成否は根管内無菌化が完全かどうかに左右されることが再認識されているが、実際の無菌化の確認は徹底されておらず、各種薬剤の 客観的 評価法も確立されていない。最近、広く根管貼薬剤に使われてきたホルムクレゾール(FC)は、難治性感染根管の一病原体であるCandida albicansに対し不完全で、これに対し銀系薬剤のイオン導入法によって完全に除菌できたという報告がある。そこで、実際に難治性感染根管からしばし ば分離される好気性、嫌気性菌、真菌の7菌種を用い、イオン導入の効果を客観的に評価するシステムの開発を試みた。一定量の菌を寒天培地に混釈し、アンモ ニア銀、サホライド、ヨードヨード亜鉛を用い、各10mA分通電した。培養後、形成された阻止円の直径で効果を判定した結果、通電のみでの除菌効果は低 く、併用する薬剤によって各菌の感受性が異なることが明らかとなった。特にサホライドは効果が高く、アンモニア銀、ヨードヨード亜鉛は菌によっては効果が 低いが、嫌気性菌にはどちらもかなり有効であった。したがって、イオン導入を適切に用いることで完全無菌化が期待でき、このシステムをチェアーサイドで用 いることで、最適な条件決定が可能となると思われた。

カテゴリー: 未分類 タグ:

第6回大会

2000 年 8 月 25 日 コメントはありません

第6回大会 2000年(平成12年)8月25日 参加校 20校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:中島 正裕, 大阪大学歯学部, 5年生

支台形成実習用デンタルミラーの改良

歯学部学生にとり口腔内における支台形成技術の習得は容易ではない.特に直視不可能な部位の切削においては、デンタルミラーを使用しているが、ター ビンからの放水により視野を確保することは困難である.そこで、ミラー表面にエアーを放出させると共に、端部に白色発光ダイオードを配置することで、水滴 の付着を防ぎ、かつ適切な照明が得られるデンクルミラーを製作した。このミラーの効果を評価するため、6名の学生が、マネキンに装着した上顎右側第二大臼 歯に対し、エアーと照明を供給した頃合、および両者を供給しなかった場合の2種類の条件で支台形成を行った.そして、形成した支台歯の遠心面をデジタルカ メラで撮影し、そのマージンの理想的な位置からのずれの面積を求め比較した所、エアーと照明を供給した方が小さい値を示した.この結果から、このミラーは 学生の支台形成の技術習得に有用な補助具となり得ると考えられる.

準優勝:大城 麻紀, 日本大学歯学部, 5年生

歯科用超音波振動装置による罹患歯質の自動切削について

近年、歯質に強固に接着する材料の進歩とともに、健康歯質を可及的に保存する生物学的窩洞形成の概念を背景に、従来からの鋳造修復物に必要であった 窩洞形態に対する様々な規制を必要としない修復治療(Minimum Intervention Dentistry)が普及しつつある.そこで、罹患歯質を選択的に削除することを可能とする生物学的窩洞形成装置として超音波振動切削に着目し、罹患歯 質のみを選択的に切削する方法を検討した.すなわち、超音波振動装置先端に試作ダイヤモンドコーティーングチップを装着し、ヒト抜去歯のう蝕およぴ健康歯 質を切削した.その結果、罹患歯質と健康歯質とでは切削に伴って生じる切削音に違いが認められ、顕著な切削音は健康歯質切削時のみに生じることが判明し た.この切削昔の強弱によって、罹患歯質除去の指標として術者の手指の感覚や視覚以外に、聴覚でのう蝕象牙質除去法が可能であることが示唆された.

第3位:秋月 達也, 東京医科歯科大学歯学部, 6年生

デジタルパノラマX線稚影法における患者被曝線量の低減と画質との関係

CCDセンサーを用いるデジタルパノラマⅩ線撮影法において、被曝線量の低減と画質の低下との関係を量的に明らかにし、臨床的にどの程度の画質低下 が許容できるかを、CR画像と仕較し検討した.CCDセンサーカセッテ(CCD方式)、またはイメージングプレート(CR方式)を検出系とし、頭部ファン トムの撮影を行った.CCD方式では管竜流を1-SmAのS段階に変化させた.6人の観察者がCRT上でコントラスト、輝度を調整しながら、6項目の解剖 学的構造(上顎洞底、下顎頭、カリエス、下顎管、歯根、歯髄腔)について描出の明瞭度を5段階評価した.また、各条件における被曝線量の測定を行った.結 果を分散分析法により分析した.CCD方式では線量が大きいはど高い評価点が得られ、3mA以上で全ての構造物で臨床的に許容できる評価点が得られた.線 量は最大で当病院の撮影条件に比較してCCD方式の約60%まで、 CR方式の約30%まで軽減が可能である.

雨宮 花, 日本歯科大学歯学部, 6年生

喫煙後の唾液中好中球の酵素活性の変化

これまでの研究で、喫煙と歯周組織破壊との強い関連が報告されている。本研究では、喫煙と唾液中の好中球の酵素活性の変化との関連を検索した.被験 者として、健康歯肉を持つ喫煙者3名、非喫煙者3名の協力を得た.唾液中好中球は、Ashkenaziらの方法(J.Den.Res.,68: 1256,1989)により分離した.エラスターゼ、コラゲナーゼ、カテプシンの酵素活性および活性酸素産生能は、CellProbeTM (Coulterter,USA)およびフローサイトメーターで評価した.その結果、喫煙者においてエラスターゼとコラゲナーゼの活性が低下し、カテプシ ンと活性酸素産生能は上昇した.統計解析の結果、喫煙者と非喫煙者間で危険率5%で統計的有差が認められた(対応のないt検定).これらの結果から、喫燈 者の唾液中好中球の酵素活性は変化し、タバコ中の物質が、口腔内で免疫機能を傷害していることが示唆された.

大前 由美子, 朝日大学歯学部, 5年生

エナメル質形成におけるCaイオンの役割

エナメル質形成におけるCaイオンの役割 Caイオンは、歯や骨の構成成分として、また細胞内のシグナル伝達物質として、多様な生物学的機能を持つ.エナメル質形成には多くのCaイオンを必要とす る.しかし、そのエナメル芽細胞内Caイオンの動態とその調節のメカニズムは明らかではない.本研究では、エナメル芽細胞の各発達段階における細胞内Ca イオンのイメージングを行うため、蛍光Ca指示薬であるFluo-3(エステル型)を5, 7, 10日ラット第一臼歯に浸透させ、共焦点レーザー顕微鏡による観察を行った.さらに、Caシグナルに閑わるIP3-R(イノシトール3リン酸レセブター, Type-1)と、Ca結合性タンパクとして細胞内のイオン環境を調節する緩衝型のCalbindin28KD,標的タンパク活性調節型の Calmodulinの局在性を免疫組織化学的に検討した.細胞内Caイオンはエナメル芽細胞の各時期に見られ、象牙芽細胞、骨芽細胞や他の組織よりも高 く見られた.IP3-Rは、分泌前期、分泌期、移行期エナメル芽細胞の局在性は強いが、成熟期初期では、局在性の低下を示した。Calbindin, Calmodulinは、分泌前期、分泌期の近心端と隣接する中間層細胞に強い局在性を示した.成熟期初期では、近心端と遠心側にもっとも強い共存性が見 られた.これらの所見から、エナメル質形成における細胞内Caイオンはシグナル伝達と輸送の両方の役割を持つことが示唆された.

岡部 佐智子, 徳島大学歯学部, 5年生

歯肉溝滲出液中のオステオボンチンの同定

歯周炎の程度や活動性を診断するために、歯肉溝滲出液(GCF)中に存在する種々の生化学的指標が注目されている。オステオボンチン(OPN)は硬 組織の形成や吸収に重要な役割をもつとともに、炎症にも関与する骨基貿蛋白である.本研究の第一目的はGCF中にOPNが存在するかどうかを調べることに ある。実験では、ヒトのGCFサンプルを電気泳動法によって分離展開し、引き続いてOPN抗体を用いたイムノブロット分析を行った.その結果、用いた GCFサンプルすべてにおいて既知のOPNのバンドと同様の分子量54あるいは66kDaの2本のバンドが認められた.歯周炎罹患部GCFと健常部GCF のOPNバンドを比較すると、罹患部OPNが濃いバンドとして観察された.以上より、GCF中にOPNが存在することが明かとなり、歯周炎とGCF中の OPN量との関連をさらに追求するための基本的な結果を導き出すことができた.

桂川 直子, 神奈川大学歯学部, 6年生

骨芽細胞特異的転写因子Cbfa1ならびに骨基質タンパク質遺伝子発現に及ぼすメラトニンの効果

松果体ホルモンであるメラトニンは、サーカディアンリズムの調節と抗活性酸素作用を効能とし、睡眠、鎮静作用、老化防止作用などの多様な薬理作用を もつホルモンとして知られている.最近、メラトニンは骨芽細胞の分化と骨形成を促進し、骨基質タンパク質の発現を上昇させる事が報告された.一方、骨芽細 胞の分化は骨芽細胞特異的転写因子であるCbfa1により調節されている.メラトニンの情報伝達経路はcAMPを介するカスケードが報告されているが転写 レベルの調節機構には不明な点が多い.そこで今回発表者はメラトニンがCbfa1の遺伝子発現に促進的効果をもつか否かを検討するために、培養骨肉腫由来 骨芽細胞様細胞(Saos-2)にメラトニン単独、PTH単独、あるいはメラトニンとPTHを同時添加した際のCbfa1と骨基質タンパク質遺伝子発現量 の変化をRT-PCRとノーザンプロット分析により調べた.その結果、メラトニン単独添加によりCbfa1と骨基質タンパク質であるBSP, typeI collagen, ALPaseの発現が上昇した.また、メラトニンとPTHの同時添加によってCbfa1とALPaseの相乗的な発現上昇も認められた.これらの結果よ り、メラトニンによる骨芽細胞の分化促進や、骨形成の促進効果はCbfa1の遺伝子発現の上昇と同時に生ずる骨基質タンパク質の転写促進が関わっている可 能性が示唆された.

加藤 明美, 福岡歯科大学, 4年生

電位依存性Ca2+チヤネル―痛覚伝達における役割と鎮痛剤の作用点としての可能性

新たな鎖痛薬開発の可能性を探るため、一次知覚神経からの痛覚伝達物質遊離に関与する電位依存性Ca2+チャネルに注目した.歯髄炎を始めとする炎 症牲の痛みを対象とする為に、炎症部位に出現する内因性発痛物質のブラジキニン(BK)とATP(BKと異なる秩序で知覚神経の興奮を起こすと考えられ る)による痛み刺激を与えて検討した.その結果1.BKとATPによる痛みは、それぞれサブスタンスPとグルタミン酸により伝達され、2.前者の遊離はN 型とL型 Ca2+チャネル、後者の遊離はN型とP/Q型Ca2+チャネルによって制御されるなど、痛みの制御に関わるCa2+チャネルの構成の違いと共に、N型 チャネルの重要性が明らかとなった.実際の炎症では様々な発痛物貿が複合的に痛みを形成し、その伝達機構も異なっていると考えられるが、Ca2+チャネル 括抗菜、特にN型括抗薬が末梢性の鎮痛薬として臨床的に応用できる可能性が示唆された.

仙名 智弘, 明海大学歯学部, 4年生

抗てんかん薬フェニトインによるヒト歯肉線維芽細胞の増殖促進機構

抗てんかん薬フェニトインによるヒト歯肉線維芽細胞の増殖促進機構抗てんかん薬であるフェニトイン(DPH)は長期連用を続けると、歯肉肥大を起こ すことが良く知られている.一方、このDPHは生体内でチトクローム P450の分子種であるCYP9C3によって5-(4-hydroxyphenyl)-5-phenylhydantoin(HPPH)に代謝されること がわかっている.そこで今回このDPHによる歯肉肥大機序がDPHそれ自身によるものか、代謝産物であるHPPHによるものかを明らかにするために、培養 正常ヒト歯肉線経芽細胞を用いて検討した.その結果、DPHよりもHPPHを投与した方が、24時間及び48時間共により強い細胞増殖促進効果が濃度依存 的に観察された.このことから、フェニトインの服用によって起こる歯肉肥大にはHPPHが関与していることが強く示唆された.

外山 淳子, 奥羽大学歯学部, 4年生

アルジネート印象材の保管条件が石膏模型の表面性状に及ぽす影響

アルジネート印象材の保管条件が石膏模型の表面性状に及ぽす影響アルジネート印象材は、印象採得後の保管条件による経時的な寸法変化が問題であると されているが、石膏模型の表面性状に及ぼす影響についての報告は少ない.そこで、硬質石膏との組み合わせにおける細線再現性と表面粗さについて湘定し検討 した.細線再現性試験用金型を印象採得し撤去直後、大気中、水道水中、保湿箱中、消毒液中に各々30分、60分保管後、硬石膏を注入し試料を作製して比較 した.5個の試料全てにおいて細線を再現した条件は撤去直後と保湿箱中30分、消毒液中30分であった.消毒液中30分と保湿箱中30分では撤去直後の試 料と同等な表面粗さを示した.以上の結果より、アルジネート印象材は可及的に撤去直後に石膏を注入することが最良であり、前記2つの保管条件でも良好な表 面性状が得られた.

田口 洋一郎, 大阪歯科大学, 5年生

21世紀に向けての最も効果的な初期齲蝕検出法とは?

疾病梼造の変化により21世定の口腔内は齲蝕減少を示すため、歯科医療は「早期発見・早期治療」から「健康増進・疾病予防」へ向うと考えられる.そ のためにはinvisibleな初期齲蝕の早期発見が8020運動などの口腔保健戦略上重要で、正確さと時期が予防や健康増進の成功につながると考えられ る.最近、初期齲蝕の早期検出機器が多数出現し、臨床で応用され始めているが、これらがどのくらいの精度があるかはほとんど知られていない.そこで、今回 初期齲蝕の正確な検出およびinvisibleな初期齲蝕の検出について検討する日的で、2種類の早期齲蝕診断機器を使用して、通常の口控内診察である視 珍と比較した結果、これらの早期齲蝕診断機器は歯の侵食に対する診断法およぴ表層下脱灰を検出できる診断法であることがわかった.

竹田 まゆ, 日本歯科大学新潟歯学部, 4年生

在宅歯科診療における経皮的酸素飽和度計の患者管理モニターとしての有用性に関する研究

軽量で手軽に持ち運びでき、経皮的酸素飽和度(SpO2)を連続的に測定できる経皮的酸素飽和度計を在宅歯科往珍患者の全身管理モニターとして使用 し、その有用性を検討した.在宅歯科往診患者の診療前・診療中・診療後のSpO2を測定し、さらに術者に全身管理モニターとしての有用性を、また患者にも 本器装着の感想を評価してもらった.患者は、男性22名、女性31名の計53名で、基礎疾患は脳血管傷害62.3%、呼吸器疾患15.1%が大部分を占め ていた。処置中にSpO2が低下した症例は47.2%で無変化群との間に統計学的有意差が認められた.処置時間について比較した結果、低下群38.8分、 無変化群29.9分と有意差が認められた。術者の評価は有用であるが 77.4%を占めた.患者の評価では84.9%については不快などの訴えはなかった.血液の酸素化は生命維持の基本であり、特に身体的に不利な条件の多い 在宅患者におけるSpO2の測定は、必要不可欠のものと考える.

中富 満城, 九州大学歯学部, 5年生

日欧人顔画像に対する日本人の認識における差異

他者を識別する上で最大の特徴となる人間の顔を研究対象とする顔学は近年注目を浴びている.また本人との類似性を維持したまま顔画像の構成要素を限 界まで削減する手法が情報通信やセキュリティシステムの分野で注目されている.本研究では多変量解析の一つである主成分分析を応用して日本人およぴ北欧人 の顔画像の構成成分を段階的に削減し再構成画像を作成した.原画像と再構成画像こ対する類似性認識に人種間の差異が存在するか否かを検討した.その結果、 相関係数0.95~0.85の顔画像においては双方に著明な差異は認められなかったが、相関係数0.75~0.65において有意差が認められた.すなわち 構成成分を削減するに従って同じ削減率の日本人の顔画像と比較すると北欧人の顔画像には類似性を見出しにくくなる傾向にあった.本研究は心理学でいう他人 種効果を支持する結果となった.

西田 知弘, 愛知学院大学歯学部, 5年生

インターネットを利用したデンタルフィルムの画換自動転送システムの構築

歯科医療において口内法Ⅹ線写真を迅速に入手し、疾病の診断、治療計画の立案等を行う事はきわめて重要である.しかしながら病院内あるいは歯科医院 内においてフィルムを撮影・現象する場所とチェアーとの距離が離れていることから時間ロスを生じる事も少なくない.一方最近LANの発達はめざましく、コ ンピューターの性能の向上とともに画像情報の転送を高速に行うことが可能となってきた.そこで我々は汎用のパーソナルコンピューターならびに周辺機器を用 いて、口内法Ⅹ線写真を簡便に術者に自動転送するシステムを開発することを試みた.その結果、撮影後の口内法Ⅹ線写真をフィルムスキャナーにセットし患者 名を記入するのみで自動的にデータベース内に格納し、かつホームページ上に表示する試作システムの開発に成功した.また、E-mailによる自動転送シス テムも同時に開発を行い、術者の手元に直接画像を送ることも可能とした.

花岡 宏一, 九州歯科大学, 6年生

ネパールでの活動を通した発展途上国における歯科保健医療協力

近年、日本をはじめとする先進国では歯科保健サービスは整って来た.個人を対象とした齲蝕予防と歯科参療に対する需要と供給のバランスは満足する状 況にあると言える.一方、途上国の歯科保健体制は人口に対する絶対的な歯科医師の不足により、満足に整っていないのが現状である.今回、途上国のネパール における国際歯科保健協力の活動内容から、先進国の歯科医師に求められる協力体制こついて検討した.その結果、日本と比較してネパールの口腔状祝は芳しく なく、また歯科医療に対する知識も少ないことが埋好できた.そこで、先進国は何ができるかを模索した結果、自立を日的とした口腔保健の確立が効果的である ことがわかった.このようなネパール歯科医療協力会の活動は大変有意義なものであると考えた.今後益々、先進国の発展途上国に対する歯科医療協力は必要と なると考えられ積極的に行うべきであることがわかった.

濱平 須美子, 北海道大学歯学部, 6年生

アデノウイルスE1B55kDaによるp53ファミリーがん抑制適伝子p73の機能失活-E1Aの関与-

がんの発症には、複数の遺伝子異常、とくにがん抑制遺伝子の機能の抑制が重要であることが近年明らかになった。アデノウイルスは代表的なDNAがん ウイルスで、ウイルスゲノム中のE1領域に存在するE1Aは、がん抑制遺伝子Rbと、E1Bが産生するこつのウイルスがん遺伝子産物のうち、 E1B-55kDa タンパクはがん抑制遺伝子産物p53と結合しその機能を抑えることにより細胞がん化を導くことが知られている.E1B-55kDaは近年発見されたp53 の新たなファミリーのp73には給合できないと報告されてきたが、我々は293細胞(ヒト腎細胞を E1AとE1Bでがん化させた細胞)中では両タンパクが結合することを見出した.このE1B-55kDaとp73タンパクの結合には、293細胞中の E1Aタンパクの存在が必要であることが示され、E1Aによるタンパク結合の強化により、E1B-55kDaはp53だけではなくp73の機能も抑制し、 細胞がん化を促すことが示された.

平岡 雅恵, 広島大学歯学部, 6年生

歯周細胞の増殖・分化に対するエナメルタンパクの影響

歯の発生過程における歯周組織細胞の分化にエナメルタンパクが関与することが報告され、歯周組織の再生にも関与することが注目されつつある.これま でにエナメルタンパクが、歯根膜細胞(PDLF)の増殖を促進するという報告があるものの、他の歯周組織構成細胞の増殖や分化に対する作用の詳細は明らか になっていない.そこで、本研究では歯周組織再生に囲わるPDLF、歯肉線経芽細腹(GF)、歯肉上皮細胞(GE)、骨芽細脇(OB)ならぴにセメント芽 細腹(CB)の増殖・分化に対するエナメルタンパクの影響を検討した.その結果、エナメルタンバクはPDLF、OB、CBの増殖・分化を促進する一方で、 GE やGFの増殖を抑制した.以上より、エナメルタンバクが歯周組織再生療法において結合組織性新付着と骨レベルを獲得するのに臨めて合目的的な生物活性を有 することが示唆された.

武藤 憲生, 鶴見大学歯学部, 4年生

ヒト唾液中におけるEGF(上皮成長因子)濃度の年齢による推移

ヒトEGFは細胞増殖刺激作用と強い胃酸抑制効果があることが知られている.唾液中には比較的高濃度のEGFが存在し、口腔や消化管の粘膜上皮の創 傷治癒および粘膜保護に関わると考えられる.また、母乳中にも高濃度に存在し、発育過程を促進すると思われる.そこで、成長期にある小児の唾波中EGF濃 度は成人よりも高いのではないかと予想し、各年齢層の唾液EGF濃度を測定した.健常人から全唾液サンプルを採取し、全タンパク質濃度とEGF濃度を定量 した結果、タンパク質濃度は年齢とともに増加し、高齢者が最も高値であった.しかしEGF濃度は小児から成人までほぼ一定(1ng/ml)であったが、高 齢者においては約2倍の高濃度を示した.従って、当初の予想に反し、高齢者の方が唾披中に高濃度のEGFが存在することが明らかとなった.この結果は、高 齢者に見られる生体防御能の低下を補償するためにEGF値が上昇した可能性を示唆している.

八幡 誠, 鹿児島大学歯学部, 5年生

ラットにおける舌癌発生に拘わる遺伝子のマッピング とくに第20番染色体について

急速な発展を遂げてきた遺伝子解析において近年その研究対象は、先天性代謝異常などの単一遺伝子の異常により起こる疾患にとどまらず、多数の疾患感 受性遺伝子がその発病に関わる高血圧・糖尿病・動脈硬化、そして癌などの生活習慣病にも拡がっている.これらの遺伝子の研究により、これらの疾患の予防法 と根本的療法の道が開かれることが期待される.我々の講座では、舌癌好発系ラット(Dark-Agouti)と舌癌嫌発系ラット (Wistar/Furth)を用いて舌癌発生に関わる遺伝子の研究が行われ、これまでに5つの発癌感受性遺伝子を見出している.今回、免疫反応に影曹を 及ぼすMHC(主要組織適合抗原複合体)と舌癌発生との関連を明確にすることを目的に、130匹のF2ラットを用いてMHC遺伝子が存在する第20番染色 体の解析を行った.その結果、さらに6番目の感受性遺伝子(Tscc6)がMHC遺伝子座に近接して存在していることが示唆された.なお、Tscc6候補 遺伝子としてMHC遺伝子のほかにTNF-alphaなども考えられる.

山崎 学, 新潟大学歯学部, 6年生

なぜ歯根嚢胞にコレステロール肉芽腫ができるのか-その病因に関する組織学的検討-

歯根嚢胞壁にはしばしばコレステロール肉芽腫が形成されるが、その機序は不明である。そこで、コレステロールが嚢胞壁に濃縮される機構として、基底 膜型へバラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)コア蛋白質第二ドメインには低密度リポ蛋白質(LDL)リセプタ様構造があることに注目した.すなわち、 LDLが基質の HSPGに結合することを想定して、嚢胞壁での両分子の局在を組繊化学的に検索した.歯根嚢胞33症例のホルマリン固定パラフィン連続切片を作製し、酵素 抗体法でHSPGおよぴアポ蛋白質(apo)B、酸化(Ox-)LDL の局在を比較検討した。その結果、HSPG強陽性を示す粘液・浮腫状の幼若肉芽組織の基質に一致して、また同部の泡沫状マクロフアージにapoBとOx- LDLの陽性がみられた.また、in-situハイブリダイゼーション法によりHSPGのmRNA発現を検索し、線維芽細胞と血管内皮・周皮細胞が HSPG産生担当細胞であることを確認した.以上より、肉芽組織で豊富に産生されるHSPGがLDLを捕捉し、この処理にマクロフアージが動員され、どう 細胞に貪食後放出されたコレステロールが濃縮結晶化する端緒となる可能性が示唆された.

カテゴリー: 未分類 タグ:

第5回大会

1999 年 9 月 1 日 コメントはありません

第5回大会 1999年(平成11年)8月20日 参加校 15校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:横山 享子, 日本大学歯学部, 6年生

簡易血糖測定機器による不正咬合者の咀嚼能率の評価

不正咬合者の咀嚼能率を簡易血糖測定機器で客観的に評価する目的で、個性正常咬合を有する正常者20名と不正咬合者20名に主咀嚼側で10秒間グミ ゼリー咀嚼を行なわせた。まず、分光光度計によるグルコースの溶出量と簡易血糖測定機器によるグルコースの溶出量との関係を調べた結果、高度に有意な正の 相関が認められた。これは、血糖測定機器によりグルコースの溶出量を正確に測定でき、臨床応用できることを示すものと考えられる。次いで、咬筋筋活動のサ イクルタイムと積分値、グルコースの溶出量について、両群間で比較した。サイクルタイムは、正常者の方が不正咬合者よりも短く、咬筋筋活動とグルコースの 溶出量は、正常者の方が不正咬合者よりも大きく、いずれも両群間に有意差が認められた。これらの結果は、正常者の方が不正咬合者よりも速く強い咀嚼力でグ ミゼリー咀嚼を行い、良好な咀嚼能率を示すものと考えられる。

準優勝:林 能理子, 徳島大学歯学部, 5年生

マクロライド耐性口腔レンサ球菌の分離およびその耐性機構

口腔領域では様々な感染症が発症するが、その原因菌の30~50%が口腔レンサ球菌である。歯科領域でも使用されるマクロライド系抗菌薬に対する耐 性菌が増加しているとの報告があるため、口腔レンサ球菌であるStreptococcus mitisグループのマクロライド耐性菌の分離、およびその耐性機構の検討を行った。1995年に分離された84株のうち7%はエリスロマイシン高度耐性 株であり、10%は中等度耐性株であった。高度耐性株は誘導型耐性であることが確認され、遺伝子としてerm遺伝子がPCR法により検出された。中等度耐 性の3株からmefE遺伝子が検出された。以上、口腔レンサ球菌にはマクロライド耐性菌が存在し、その耐性機序にはermによる誘導型、mefEによる排 出型などがあった。検出された耐性遺伝子は他の菌株、菌種に伝達する可能性があり、引き続き耐性パターンの追跡を行う必要がある。

第3位:善入 雅之, 大阪歯科大学, 6年生

歯科用ゴム手袋の諸性質から臨床使用を考える

歯科用ゴム手袋は臨床教育にも組み入れられているが、信頼性、強さや歯科材料の付着性などの問題点も指摘されてきた。それらの問題点の改善が進んで いると聞くが、現状を知ることにより、それらに対応した使用法が可能になると考え、本研究を行った。その結果、引張強さおよび伸び以外に、手袋素材の違い によるピンホール、材料の付着性あるいはシリコーン印象材の重合への影響に顕著な差は認められなかった。このことから従来の問題点の改善が進んでいること がわかった。しかし、臨床使用においては、装着感、操作性、耐久性、価格や利便性などの諸性質を総合して選択される。今回、差の認められた機械的性質は、 それらに大きく係わる重要な性質である。今後の歯科用ゴム手袋使用に当って、その注意点や選択基準について一つの示唆が得られたと同時に、更なる改良の必 要性のあることもわかった。

荒木 一将, 愛知学院大学歯学部, 6年生

CCDカメラによる、液-固相における金属の密度測定

歯科精密鋳造では、鋳造用合金の密度・表面張力・粘性値などの高温物性を知ることが適正な鋳造体を得るうえできわめて重要である。特に、合金の凝固 時あるいは固相領域における密度変化は、鋳造体の収縮補正にとって不可欠な物性といえる。歯科精密鋳造における収縮についての基礎データを蓄積するため に、これまでにも静滴法を基礎とした装置による種々の金属密度測定が行われてきた。今回、光学測定系にデジタルカメラを、解析系にコンピューターを導入 し、より迅速な測定ならびに金属密度測定の誤差の減少を試みた。基準物質に純金を選択し、校正を行った結果、改良された測定系では、従来法と比較して飛躍 的に測定時間が短縮され、さらに既存データとの一致もきわめて良いことが判明した。

石田 陽子, 新潟大学歯学部, 6年生

咽頭歯の微細形態学的研究 - 新しい硬組織観察法の応用 -

最近、骨などの硬組織微細形態を非破壊的に2次元・3次元像として観察できるμCTの応用が脚光をあびている。そこで本研究は従来形態学的観察が困 難とされていた魚類咽頭歯に着目し、μCTを用いてキンギョ咽頭歯の立体微細形態を明らかにするとともに、従来用いられてきた組織学的方法による観察も行 い、 μCTの有用性を比較検討した。その結果、contact microradiographyに匹敵する高分解能のCT像が得られ、咽頭歯が咽頭骨と骨性結合している状態が明瞭に観察された。また3次元再構築像で は、頭蓋を構成する骨が立体的に観察でき、咽頭歯およびその歯胚と咽頭骨の空間的位置関係が明瞭に観察された。SEMと比較すると、試料作成過程における 構造の破壊がなくμCTが容易でかつ非破壊な手法であることが確認された。本法を応用する事によって今後各種動物等の硬組織研究、特に比較解剖学的研究に 新たな展開が期待される。

岩坂 憲助, 明海大学歯学部, 6年生

アスコルビン酸関連化合物等の酸化還元剤による細胞死誘導における過酸化水素の関与

アスコルビン酸誘導体による細胞死の誘導における過酸化水素の関与について、クリスタル紫染色法及びFACS解析を用いて検討した。ラジカルを産生 する誘導体は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞、ヒト唾液腺腫瘍細胞やヒト前骨髄性白血病細胞の増殖を濃度依存的に抑制したが、ラジカルを産生しない化合物は不活 性であった。過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼは、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、過酸化水素、没食子酸の細胞障害活性を有意に抑制した が、抗癌剤であるベンジリデンアスコルべート(SBA)、メトトレキセートやドキソルビシンの細胞障害活性に対しては、殆ど影響を与えなかった。SBAに よる細胞障害活性の誘導は過酸化水素以外のメカニズムが関与していると思われた。アポトーシスに関与するとされるカスパーゼ3の阻害剤は、これら化合物の 細胞死誘導を完全には阻止できなかった。

小野 法明, 東京医科歯科大学歯学部, 3年生

銀配合リン酸カルシウム化合物によるStreptococcus mutansの付着と増殖の抑制

齲蝕とは硬組織の破壊であり、歯面に付着・増殖し齲蝕を発生させるS. mutansの能力を阻害する因子を保存修復材料に導入することは齲蝕発生の防止に効果があると考えられる。実験には2種類の銀配合リン酸カルシウムを用 いた。ACは第三リン酸カルシウムでありCa分子が一部Ag分子によって置換されている。NBはハイドロキシアパタイトでありCa分子が一部Ag分子に よって置換されているほか、Ag分子が結晶内に吸着保持されている。ACに比してNBのAgイオン溶出量は大きい。これらのS. mutans付着および増殖に対する抑制効果を、これらを混合したセメント表面への付着、およびこれらを段階希釈した溶液中における培養を用いて評価し た。S. mutansの付着はACおよびNBの双方で抑制され、増殖は高濃度のNB溶液下において抑制された。以上の結果より銀配合リン酸カルシウム化合物はS. mutansの付着と成長の抑制に有効であり保存修復材料に導入可能であると考えられる。

小林 良喜, 日本大学松戸歯学部, 5年生

最も齲蝕抑制効果のある市販飲料水はどれか?

近年、国内において缶あるいはボトル入りの茶及びコーヒー飲料水が発売され、その消費量は飛躍的に増大した。茶類やコーヒーから抽出されるポリフェ ノールは齲蝕抑制効果があることが報告されている。そこで、現在最も消費されている市販の缶入り茶類及びコーヒーの齲蝕抑制効果について検討してみた。市 販の缶入り緑茶、紅茶、ウーロン茶を自由摂取させ、齲蝕誘発飼料(Diet 2000)を与えたマウスを摂取開始70日後に屠殺し、下顎骨を取り出した後に臼歯を染色し、実体顕微鏡にてカリエススコアを測定した。なお、コントロー ルとしては、蒸留水を自由摂取させた。その結果、コーヒーを与えたグループは他の市販飲料水を与えたグループと比較し、明らかにカリエススコアの低値を示 した。また、最も高値を示したものは、蒸留水群であった。茶類では緑茶を与えたグループに高値が示され、齲蝕抑制効果が他の茶類と比べ少ないことを示し た。

佐藤 秀夫, 鹿児島大学歯学部, 4年生

歯科医療における全人的ケアの実践を目指して:ある大学におけるアンケート調査に見るデンタル・プロフェショナルの「白衣」に対する認識を中心とした考察

今後の歯科医療の重要課題に「全人的ケア」がある。本研究は大学歯学部のデンタル・プロフェショナルの「白衣」に対する意識調査を通し、現状考察と 学生への「全人的ケア」教育の為の提言を試みた。アンケートの結果、回答者の(1)約80%が白衣を自分自身のみを守る「防護服」ととらえ、(2)約 60%が診療以外でも白衣を着用し、(3)現実の歯科医-患者関係において約80%が白衣が心理的に左右すると考え、(4)約40%が理想の歯科医師像に 白衣は必要ない、と考えている。これらは医療者の白衣への安易な依存あるいは無関心という現状を表しているのではないかと考えた。このような医療者自身の 自己中心性は患者の全人的ケアの実現を阻む一原因であると考え、西洋・東洋の倫理学諸理論の中から初期仏教のモラル思想に着目した。そこでは「自己中心性 を減少することが、自己と他者とをケアする」と説明している。この考え方から、患者の「全人的ケア」のためには「医療者自身が自己を全人的にケアすること が必要である」という見解がうまれる。そこから、自己中心性に関する認識を中心とした歯学部学生へのモラル教育の必要性を提言する。

高岸 亜矢, 大阪大学歯学部, 5年生

咬みしめ時のヒト下顎頭の運動

歯列の形態や咬合状態などが咬みしめ時の下顎頭の運動に及ぼす影響について検討する目的で、以下の実験を行った。被験者として、顎口腔系に自覚的、 他覚的に異常を認めない健常者42名および顎関節に雑音、違和感などを自覚する者14名を用いた。各被験者の顎運動を6自由度顎運動測定装置にて記録する とともに、上下歯列模型を製作し、歯列の形態、上下歯の咬合状態の観察を行った。さらに、顎関節断層撮影を行い、下顎頭の形態及び位置を観察した。その結 果、全体の約2/3の被験者において咬みしめ時の下顎頭の移動量の左右差は0.2mm以下と小さな値を示したが、約1/3の被験者では移動量に明らかな左 右差が見られた。この左右差の原因について考察したところ、歯列の狭窄、過蓋咬合、反対咬合のような形態的な影響よりもむしろ、上下歯の咬合按触状態の左 右差による影響を強く受けることが示唆された。

中川 靖子, 北海道大学歯学部, 5年生

透明レジン床を用いたプレッシャースポットのビジュアル化

義歯装着後の痛みの多くは義歯床の不適合によるものだが、口腔内でプレッシャースポットを認識し調整することは必ずしも容易なことではない。本研究 では透明性を活用して義歯粘膜面調整の確実・簡便化を目的とした、クリアーレジンの義歯床への応用に関する評価を行った。歯槽堤を模した二つの山を持つ金 属製マスター模型からおこした作業模型上でレジンベースを作成し、マスター模型に戻したときの適合性を計測した。同時に接触状態をぺ一スト状の適合診査材 を用いて記録した。レジンベースはマスター模型には完全には適合せず、山の外側斜面の一部でのみ接触する傾向がみられた。調整による適合状態の変化は透明 レジンを通して容易に観察することができた。本研究の結果より、クリアーレジンを用いることにより経験の浅い歯科医にとっても、プレッシャースポットを容 易に視覚的に把握することが可能になり、より良好な適合を達成できる可能性が示された。

広沢 利明, 日本歯科大学新潟歯学部, 5年生

ラリンジェルマスク挿入の実習に関する評価

ラリンジェルマスクは全身麻酔中における気道確保の補助器具として有用であると同時に、その操作性の良さと気道確保の確実性から、現在では救急救命 士までその使用が認められている。本研究ではラリンジェルマスクの使用経験がない第5学年の36名を対象に、実習時間と手技の習得との相関関係を検討し た。その結果、説明とデモンストレーションのみよりも実技実習を受けたグループのほうが時間・確実性ともに評価が高かった。又、実技実習を行う回数を増や すことで有意な挿入時間の短縮化は見られたが、確実性に違いはなかった。これはラリンジェルマスクの挿入が、未経験者であっても数少ない練習により確実に 行えるようになることを意味している。歯科診療中の不慮の事故に対する緊急気道確保は困難な状況が想定される。本研究結果は、ラリンジェルマスク挿入手技 の実技経験が歯科領域における気道確保の一手段として有効なものであることを示唆している。

真野 美弥子, 朝日大学歯学部, 5年生

チェアーサイド嫌気培養システムを用いた臨床症状と根管内細菌との相関- 根管治療時における臨床症状と根管内細菌検査 -

根尖病巣を有する症例においては、症状の発現に口腔細菌が関与し、それらの症例から、偏性嫌気性菌がよく検出される。また、急性症状を有する症例か らは、偏性嫌気性のEubacterium, Peptostreptococcus, Prevotella, Peptococcus, などが優位に分離される。本検索では、チェアーサイド嫌気培養システムを用いて根管治療中の症状の発現と根管内細菌との関係について検討した。その結果治 療中の症状と根管内細菌の有無については相関性は認められなかった。

明石 靖史, 広島大学歯学部, 6年生

腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)αは歯根膜線維芽細胞の貪食能を促進する

歯周組織の炎症性破壊に重要な役割を演じる歯根膜線維芽細胞(PDLF)の貪食能に対して、tumor necrosis factor α(TNF-α)がどのように関与するかを明らかにする目的で、ラット臼歯部由来培養PDLF内に取り込まれる蛍光顆粒(直径0.5μm) 数を種々の条件下で観察した。その結果、1. TNF-αの濃度(10~300ng/ml)が高くなるにつれてPDLFの貪食能が亢進する。2. LPSの濃度(0.05~100ng/ml)が高くなるにつれてPDLFの貪食能が低下する。3. PDLFの貪食能は細胞の分化度により異なる。4. TNF-α及びLPSはPDLFにTNF-α産生を誘導しないことが明らかとなった。今回用いたin vitroのassay系はコラーゲン線維の貪食を対象としたものではないが、歯周炎に際してみられるPDLFによるコラーゲン貪食の亢進は、LPSの直 接的作用によるものではなく、炎症の成立、進展に伴って歯周組織構成細胞や浸潤細胞の産生するTNF-αの関与による可能性が示唆された

龍 信之助, 日本大学歯学部, 5年生

臨床における可視光線照射器の重要性について

可視光線をその硬化に応用した歯科材料の使用頻度は、これらの製品が有する良好な操作性などから増加しており、この重合硬化に必要な可視光線照射器 (以後、照射器)の重要性も高まってきている。そこで、現在使用されている照射器の実態を把握するために、付属歯科病院で使用されている照射器について、 その使用状況について調査した。また、光強度の低下が、光重合型レジンの物性のなかでも臨床上重要と考えられる歯質接着性について、象牙質接着強さを測定 することによって検討を加えた。その結果、臨床では光強度が低下した状態で照射器を使用していることが多く、また、光強度の低下した状態で製作された試片 の象牙質接着強さは有意に減少しており、照射器を定期的にチェックすることの重要性が示唆された。

カテゴリー: 未分類 タグ:

第4回大会

1999 年 9 月 1 日 コメントはありません

第4回大会 1998年(平成10年)8月19日 参加校 9校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:阿部 修, 東京歯科大学, 5年生

要介護高齢者口腔内には肺炎起因菌が高頻度に検出される

高齢者における直接の死因として最も高いのが不顕性誤嚥による細菌性肺炎である。その予防には口腔清帰を中心とした歯科医療担当者の果たすべき役割 が非常に大きいとされている。本研究では特別養護施設及び在宅の要介護高齢者の口腔含嗽液を使用し、その中に含まれる潜在的呼吸器感染症病原体を検出し た。 PCR法による肺炎レンサ球菌の検出、培養法によるMRSAを含む黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びカンジダ・アルビカンスの検出と菌数算定を実施し、同時に被 験者の口腔衛生状態を検査して相関関係を調べた。調べた感染率及び菌数は共に口腔衛生状態の悪い高齢者ほど高い値を示し、歯科衛生士を中心とした専門的口 腔ケアが行われている施設入居者においては顕著に低い値を示した。本研究結果は、要介護高齢者に対する口腔ケアが機能の維持に限らず、肺炎の予防などを含 めて人々のQOLを支える重要な役割を担っているということを裏付けるものと考える。

準優勝:高橋 暁子, 北海道大学歯学部, 6年生

ポリカーボネートクラウンからビスフェノールAを溶出させる因子

生体内でホルモン活性を示す化学合成物質が注目を集め、環境ホルモンと呼ばれている。歯科領域では、その一つであるビスフェノールA (BPA)が材料から溶出する可能性が指摘されており、シーラントやコンポジットレジンについて研究報告がなされている。しかし、既製のテンポラリークラ ウンの主成分であるポリカーボネートについてはBPAを原料としているが報告はない。そこで本研究では、同材料からBPAを溶出させる因子を検討し、口腔 内環境と比較考察した。ポリカーボネートクラウンを有機・無機の各溶媒中に浸漬した後、高速液体クロマトグラフィーを用いて溶出成分を分析し、各種条件を 検討した。その結果、溶出因子として、(1)溶媒の脂溶性および分子量、(2)温度、(3)pHが考えられた。

第3位:高橋 一郎, 日本大学歯学部, 4年生

漢方薬の抗うつ作用および鎮痛作用に関する検討

漢方薬は、本邦では歯科臨床で心因性疾患にも用いられている。仮面うつ病などの歯科心身症は、多くの場合痛みと深く関連しているが、それらに用いら れる漢方薬の抗うつ作用や鎮痛作用についての基礎的な研究は少ない。そこで、漢方薬のなかでも臨床において心因性疾患に効果が期待されている補中益気湯、 抑肝散および柴胡加竜骨牡蛎湯を選び、それらの抗うつ作用と鎮痛作用について実験を行った。その結果、マウスの絶望状態モデルを用いて抗うつ作用を判定し た場合、いずれの漢方薬の慢性投与(2週間)も、人の1日量に相当する60mg/kgでは抗うつ薬のimipiramineと同様の作用を示した。また、 酢酸ライジング法を用いて鎮痛作用を判定した場合、いずれの漢方薬も鎮痛作用を示すことが認められた。以上の結果は、これらの漢方薬の歯科心身症に対する 有用性を実験薬理学的に支持するものである。

樫村 太郎, 日本大学松戸歯学部, 4年生

口腔内における再石灰化のRGB計測

エナメル質初期齲蝕は、臨床においてしばしば白斑として観察されることがあります。その齲蝕は、そのままの状態で維持される場合もありますが、時と して進行が速く、実質欠損を伴い象牙質に至ります。特に、小児の場合、歯牙の構造的弱さ、歯磨きの不慣れ等で進行していくことが多くあります。エナメル質 初期齲蝕を出来るだけ安定した状態で、長期にわたり維持することは、齲蝕予防の観点からおおいに意義のある事と考えられます。今日、齲蝕予防には、フッ素 を用いた塗布法、イオン導入法や洗口法等が行われていますが、本実験では、簡便な方法である洗口法を用いて、再石灰化に重要な因子と、再石灰化の程度を歯 質の色の変化により検討しました。

竹内 秀人, 鹿児島大学歯学部, 4年生

合成ペプチド、T22およびT134の抗ヒトレトロウイルス作用

病原性ヒトレトロウイルスとして、AIDSの原因ウイルスであるHIVと、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の原因であるHTLV-Iが知られてい る。 HIV感染症は、その爆発的な患者数の増加と高い致死性のため大きな社会問題となっており、またHTLV-IはATLへの発症率は低いものの、南九州に多 くのキャリアがみられ、また神経症状や関節炎などのHTLV-I関連疾患を起こすこともあり、ともに血液・体液を介して性行為や母子感染により感染が拡が る。さらに口腔治療を行う歯科医にとっても、これらのウィルス感染予防対策は重大な問題であるとともに、その感染・増殖を抑制する抗ウイルス薬の開発は重 要な研究課題である。最近、HIVの感染に関してはCD4分子以外に、ケモカインレセプターが重要な役割をもつことが明らかにされた。すなわち、T細胞に 感染しやすいHIVはαケモカインレセブターのCXCR4が、マクロファージ指向性HIVはβケモカインレセプターであるCCR5がそれぞれのコレセプ ターとして、ウイルスの細胞内侵入に重要な役割を持つ。カブトガニ由来の抗ウイルス作用をもつタキプレシンの構造を基に合成したペプチド、T22や T134は、HIVのエンベロープ踏蛋白質とCXCR4の結合を阻害することで、T細胞指向性HIVの感染を特異的に阻害する。HTLV-Iに関しては、 その細胞側のレセプターは未だ確認されていないが、同様にT22クラスのペプチドを加えることで、HTLV-I感染細胞(MT-2)と標的細胞(MOLT -4)との混合培養系で有意な感染阻止効果がみられた。このことから、HTLV-I感染においてもCXCR4が感染の成立に何らかの関与をしていることが 考えられた。それ故、これらのペプチドのヒトレトロウイルス感染におよぼす影響を詳細に検討した。

福田 多栄子, 大阪大学歯学部, 5年生

当附属病院の過去10年間における病理組織診断の統計学的及び疫学的解析

口腔内における疾病分布と最も高頻度にみられる口腔腫瘍である扁平上皮癌について、病理診断結果にもとづき、比較、分析をおこなった。従来からの一 般的認識や、成書によって得られる口腔扁平上皮癌の疫学的、統計学的数値の整合性を検証するため、1987年~1997年にわたる病理組織診断結果を用い て、口腔扁平上皮癌の年齢別、性別、部位別分布に関し、より新しい、より地域的な分析結果を得た。全体として女性の割合に増加がみられたが、口腔底および 臼後部においては、依然として男女比は3倍以上であった。部位によって、年齢構成にばらつきがみられた。また、得られた分析結果を他の文献のものと比較す ることにより、舌、口唇、口腔底への罹患割合に、大きな差異が認められた。

本間 裕章, 日本歯科大学新潟歯学部, 4年生

キシリトールがStreptococcus mutansの増殖と不溶性グルカン産生に及ぼす影響について

キシリトールがStreptococcus mutansの増殖と不溶性グルカン産生に及ぼす影響について、キシリトール単独存在下およびグルコース、またはスクロースとの共存下において検討した。 キシリトール単独では、5%以上添加すると明らかにS. mutans群の増殖を抑制し、キシリトール単独添加では酸産生、不溶性グルカン産生は認められなかった。1%スクロース存在下で、1~10%キシリトー ル添加では、S. mutansの増殖および酸産生には、全く影響を与えず、増殖、酸産生、不溶性グルカン形成とも1%スクロースのみと同様であった。キシリトール20%添 加では、S. mutansの不溶性グルカン形成、酸産生とも抑制され、キシリトール40%添加でS. mutansの増殖、不溶性グルカン形成、酸産生が阻止された。

村田 愛, 日本歯科大学歯学部, 4年生

歯科用デンタルフィルムの画像解析と骨密度の評価

歯科用X線フィルム像から骨(密度、構造)を評価することは難しい。しかし、X線フィルム像の解析は歯科治療において重要な情報源である反面、骨密 度や骨梁など骨内部の詳細な構造までの読影は困難である。そこで撮影条件、現像条件を一定化し、コンピューターによる画像処理を行い、さらに、軟X線によ る下顎骨の断面の構造解析を行うことで、効果的なデンタルフィルムと骨の読影をおこなった。その結果、骨の解析にはデーター化された値を評価することが有 効とされることがわかった。今後は例数を加えることにより、データー化された値の評価の精度を高めることができると考えられ、このことは骨の評価を必要と されるインプラントを含めた歯科治療に有効な手段であると思われる。

山口 雅人, 広島大学歯学部, 5年生

高等学校におけるスポーツテストの潜在因子と咬合状態との関連性

近年、身体運動能力と咬合状態等との関連性についての研究、いわゆるスポーツ歯学が脚光をあびてきた。本研究ではスポーツテストの潜在因子と咬合状 態との関連性を検討することを目的とした。初めに、咬合状態(咬合圧、咬合力、咬合バランス)の測定尺度の再現性を検討した。その結果、咬合尺度の再現性 はほぼ良好であった。次に、某高等学校全野球部員を対象に各種スポーツテストの基本構成要素を因子分析法によって明らかにした。即ち、「等尺性筋力 (f1)」、「筋収縮能(f2)」、「等張力性筋力(f3)」と名付けることが可能な3つの因子が抽出された。これら3因子と咬合バランスとの有意な関連 性は認められなかったが、咬合圧が低いほど「筋収縮能(f2)」が高く、咬合力が強いほど「等張力性筋力(f3)」が高い傾向が認められた。以上のことか ら、咬合状態は身体運動能力に影響を及ぼしている可能性が示唆された。

カテゴリー: 未分類 タグ:

第3回大会

1999 年 9 月 1 日 コメントはありません

第3回大会 1997年(平成9年)8月26日 参加校 7校
タイトルおよび発表内容要旨 (入賞者を除き発表者氏名50音順)
※氏名・所属・学年は発表当時

優勝:五十川 伸崇, 東京医科歯科大学歯学部, 4年生

新しいチューインガムを用いた咀嚼機能の評価

咀嚼能力の機能面に対する評価法の一つとして咀嚼につれて変色するガムを用いる事ができれば、診療室で咀嚼の総合的な機能の評価を簡便に行うことが できる。そこで、新しく開発された変色ガムの有効性を調べるために、世界標準の表色系(L*a*b*)を用いて咀嚼回数に対するガムの色の変化を測定し た。このガムは2つのガムベースからなりこれらが混ぜ合わされることで酸塩基反応により変色する。得られた結果は次ぎのようなものであった。L*a*b* 表色系において赤色を評価する指数(a*)は、咀嚼回数の増加に従って値が低下しており、特に咀嚼回数50回から100回の範囲ではほぼ並行を示した。以 上のことよりこのガムは咀嚼能力の機能面に対する簡便な評価法として有効であることが示された。

準優勝:駒林 卓, 広島大学歯学部, 6年生

歯科保健に関する異文化間研究 ~ 日中両国の質問紙の等価性ならびに歯学生における保健行動の差異について ~

今日、言語の障壁を乗り越え、社会全体が国際化の方向に向かっている。それに伴い、諸外国、特にアジア諸国との文化的・社会学的比較研究や異文化コ ミュニケーションの方法論に関する研究の重要性が増してきた。本研究では、わが国で開発された歯科保健に関する質問紙を他言語(中国語)に翻訳することに よって、社会環境等の異なる二国間で数量的な比較が可能かどうかを、日中両言語に堪能な者を対象に検討した。その結果、両国の質問紙は尺度としての等価性 をもち、歯科保健行動を数量的にも評価できることが、示唆された。次に、同質問紙を用いて、両国の歯学生を対象に、歯科保健行動の差異を検討した。結果 は、両国とも高学年の学生ほどセルフケアレベルが高い傾向を示したが、性差は見られなかった。また、日本の歯学生の方がブラッシング重視型の予防行動をと る傾向が強く、歯科保健に関する得点も高かった。

第3位:海野 亜由子, 日本大学松戸歯学部, 5年生

小児にストレスを与えずに自然咀嚼運動を再現できる下顎運動測定器の開発

近年、顎関節症を有する若年者の増加や小児の摂食の拙劣さを耳にする。顎関節症あるいは噛まない、飲み込まないなどの行動は軟食化が一因といわれて いるが学問的には解明されていない。顎関節症を有する小児や青年は幼児期にすでに異常な咀嚼運動を行っていた可能性がある。一方、咀嚼状態を把握するため には、自然咀嚼時の下顎運動の分析を行う必要がある。しかしながら現在用いられている下顎運動測定装置は煩雑でかつ被検者の頭部の固定と口腔内に器具の装 置を要し、自然咀嚼時ならびに幼児の下顎運動を分析できない。そこで今回、我々は頭部の固定と口腔内に器具の装着を必要としない下顎運動測定器の開発を試 作し、健常な小児と顎関節症を有する小児の3次元的下顎運動を分析した。

小谷田 千鶴, 日本歯科大学歯学部, 5年生

日本人における歯の色調に関する自己認識と実測の相違

日本において一般に審美歯科の需要が高まってきたのはここ十数年のことだが、確かに矯正治療を行う人や、親が子供の歯並びを気にして小さいうちから 治療を行うのをよく見かけるようになった。一方最近では、「歯を白くする」効果があるという歯磨剤が大きく宣伝されたが、一時的な流行に終わりそうであ る。「歯は白いほうがいい」という考えは一般に浸透しているが、積極的に歯を白くするための治療を受けようとするまでには至らないらしい。そこで、どれだ け自分の歯の色について認識しているのか、被験者一人ずつに聞き取り形式で質問をし、各自の歯の色、特に目立つ上顎中切歯について、意識調査を行った。

齋藤 充, 大阪大学歯学部, 5年生

個性正常咬合者の咬合圧測定

近年開発された咬合診査システムを用い正常咬合者における咬頭嵌合位での咬合力、接触面積及び平均圧の分布を3段階の噛みしめ強さで測定し、それら の測定値と習慣性咀嚼側との関係及び咬合力のバランスについて分析した。咬合力及び接触面積は噛みしめ強さとともに増加したが、平均圧は有意に変化しな かった。左右的咬合力バランス中心は弱い噛みしめ時に習慣性咀嚼側へ有意に偏位したが、強く噛みしめるに従い正中へ向かって有意に移動した。一方、前後的 バランス中心は強く噛みしめるに従い後方に移動したがその移動量は小さかった。上顎各歯の咬合力及び接触面積は大臼歯部で高く、非習慣性咀嚼側第2大臼歯 を除きそれらの分布率は噛みしめ強さによって有意に変化しなかった。これらの特徴は、歯、歯周組織及び顎関節に過度の負担を与えず、それらの損傷を防止す るのに適していると考えられる。

原田 優子, 日本大学歯学部, 6年生

LPS刺激した上皮細胞における炎症性サイトカインの遺伝子発現について

近年、腸上皮細胞が各種のサイトカンを産生し、LPSの刺激でサイトカインやsecretory component (SC)の産生の増加が報告され、上皮細胞とLPSとの関係が注目されている。しかし、口腔の上皮細胞におけるサイトカインやLPSレセプターの検索はほ とんど行われていない。このことから、上皮細胞におけるサイトカインおよびLPSレセプターの発現について口腔の扁平上皮癌由来のCa9-22と大腸癌由 来のHT-29を Salmonella minnesotaまたは、Porphyromonus gingivalisで刺激し、炎症性サイトカイン、LPSレセプター、SCの発現をRT-PCR法で検索した。その結果Ca9-22とHT-29はIL -1などの炎症性サイトカインとLPSレセプターを発現し、SCはHT-29に強い発現を認めた。この結果から上皮細胞の免疫機構への関与は大きいと推測 された。

本間 裕章, 日本歯科大学新潟歯学部, 3年生

歯周病原性細菌の口腔粘膜上皮細胞への付着に関する研究

歯周病原性細菌であるP. gingivalisおよびA. actinomycetemcomitansの口腔粘膜上皮細胞への付着能について三種類の口腔内常在菌(S. salivarius, S. sangiusおよびA. viscosus)と比較検討した。三種類の口腔内常在菌の中ではS. salivariusが最も高い口腔粘膜上皮細胞への付着能を示した。P. gingivalisは、A. actinomycetemcomitans, S. salivariusに比べ高い口腔粘膜上皮細胞への付着を示した。P. gingivalis, S. salivariusの口腔粘膜上皮細胞への付着は血清添加により抑制された。また、P. gingivalisの口腔粘膜上皮細胞への付着は細胞のトリプシン処理により増加した。

カテゴリー: 未分類 タグ: